運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業界が抱えている法的リスクに備えるために

2019.03.07
分類:その他
物流網が整備されてきたことにより、運送業が日本の色々な産業を繋ぐ橋渡しのような役割を担うようになりました。 インターネット社会となったことにより、ネット通販サイトなどが急発展し、物流量も増加傾向にある状況です。 しかし、仕事は増える中で運送業の人手不足はいっこうに解消されないことが問題視されています。その上、労働者の権利意識も高まっていることで労働災害トラブルも起きるようになるなど、環境の変化によって抱える潜在的な法的リスクに備えておくことが必要です。

運送業が抱える様々な法的リスク

運送業は多重下請や多重取引を行うことが多い業界であり、その上、深刻化する人手不足を解消するため外部業者委託や派遣労働、出向・転籍に頼らなければならない部分もあります。 そのような業務の性質上、契約関係が複数化する傾向にあり、労務管理や取引などを巡る法的リスクが生じやすいといえるでしょう。 主な法的リスクとして、次に挙げるような問題が考えられます。運送業ではこれらのリスクに備える対策が必要ですが、その前にどのようなリスクを抱えるのか把握しておくようにしましょう。 □人手不足に関するリスク 身体的な負担が大きく、さらに労働時間が長時間に及びやすいことが理由で、なかなか人材が集まらない傾向がみられます。 一旦は雇用してもすぐに退職してしまうなど、離職率の高さも経営者の頭を悩ますところです。 人手不足を解消しようと、外国人労働者や外部業者からの受け入れを検討することもあるでしょうが、今度はそれに伴う法的リスクが増すなど悪循環な部分もみられます。 □労務管理や労働時間管理におけるリスク 高度経済成長期には多数の労働者が在籍していたので、使用する側の方が発言力は強かったといえます。しかし現在は働き手が少ない状況であり、辞められては困ると考える経営者も少なくないため、労働者のほうが発言力を増しているケースもみられます。 さらに労働者の権利意識が高まりつつあり、不合理や不当と思われる労務管理に対してクレームが発生する傾向も高くなりました。 特に近年では、未払い残業代や過重労働についての問題は、特に厳しい対処が必要とされる意見も多く、万一ブラック企業と揶揄されるようになれば信用リスクを及ぼすことになります。 これらのリスクを回避するためにも、適切な労務管理と労働時間管理を行う重要性が高まっているといえるでしょう。 □労働災害が発生するリスク 長時間労働などで労働災害が発生するリスクは常に潜在化しています。労働災害が発生すると、労災保険のみでは対応しきれない部分も生じるため、損害賠償責任や刑事責任、行政責任などを問われれば事業を継続できなくなる可能性も出てくるでしょう。

法的リスクを保険でカバーすることの検討も必要

以上のように、運送業が抱える法的リスクは様々です。潜在的に抱えるリスクに備えるためにも、そのリスクに対応できる保険などに加入することの検討が必要といえるでしょう。