運送業界で問題視されている名義貸し行為とは?

運送を事業とし、トラックに緑ナンバーを付けるためには「一般貨物自動車運送事業」の許可を取得することが必要です。
個人事業主でも法人でも許可を取得することは可能ですが、要件としてトラックを5台保有し、5人以上ドライバーを準備するといった、単独での経営では超えることが出来ないハードルがあります。
そこで、自身が所有するトラックを一般貨物自動車運送事業の許可を取得している運送事業者に増車してもらい、会社名義の車検証にしてもらう「名義貸し」や「ナンバー貸し」を行おうとする方がいるようです。ただしこれは違法な行為ですので、行わないようにしてください。
違法行為と知っていて行われる名義貸しに何のメリットがある?
名義貸しは違法な行為だと知っていて行う方たちがいます。
車を持ち込むドライバーにとっては、白ナンバーでは受注できない仕事を緑ナンバーであることで引き受けることができるというメリットがあるといえるでしょう。
反対に名義を貸す運送事業者にとっては、トラブルさえ発生しなければ毎月数万円程度入金されるメリットがあります。
雇用されていなければ常時選任運転者にはなれない
原則、運送事業者のドライバーは雇用されていることが必要で、常時選任運転者のルールもクリアしていなければなりません。
常時選任運転者としては、日雇いの方や2か月以内の契約社員、雇用されて14日以内の試用期間中の方は含まれません。
そもそも従業員であることが前提なので、雇用されていない個人事業主などが緑ナンバーを運転することは問題であるといえます。
ただ、運送事業者の役員や、個人事業主として一般貨物自動車運送事業の許可を取得した方は雇用されていない経営者という立場で常時選任運転者となることができ、緑ナンバーを運転できるという形です。
名義貸しは罰則の対象!
さらに名義貸しの場合は、運送会社に運賃の入金はされず、車を持ち込んだドライバーに直接支払われることがほとんどです。
車を持ち込んだドライバーは、車に対して加入した保険の保険料、燃料代金、車両の維持・修繕費などはすべて自己負担なので、売上からそれらの費用を差し引いた残りから、ナンバーを借りた代金として運送事業者にいくらか支払う形となるでしょう。
しかしこのような契約は違法ですので、車を持ち込んだドライバーも運送事業者も罰則の対象です。
名義貸しで運送事業者が逮捕されたケースもある
実際、運送会社の名義貸し違反の摘発が続き、運送事業者とその役員らが逮捕されるという事件も発生しています。
これまでは問題行為と知らず行われていたところもある様ですが、知らなかったでは済まされません。名義貸し行為などで摘発されないよう、正規のルートで事業を営むようにしてください。