運送責任を負う事業である貨物利用運送事業と貨物取次事業の違いとは?
運送関係の事業には貨物取次事業と貨物利用運送事業がありますが、この2つはどのような違いがあるのでしょう。言葉こそは似ていますが、内容は大きく違っていますのでそれぞれの事業の特徴や違いを把握しておくようにしましょう。
貨物利用運送事業とは?
荷主に対して運送責任を負う貨物利用運送事業では、荷主と運送契約を結んだ後は荷主に対して運送責任を負うことになる事業であることが特徴です。
運送取次事業とは?
それに対し運送取次事業は、荷主に対し運送責任を負わず、荷主の需要に有償で応じ運送事業者の貨物運送取次ぎや運送貨物の取次ぎなどを行います。
荷主名で運送事業者に貨物の運送委託や貨物の受取りなども行うことが特徴で、平成15年に規制が廃止されています。
貨物取次事業として挙げられるのは、
・求車求貨システム…荷主が輸送を希望する貨物の情報を掲示板やデータベースなどに掲示し、成約した運送事業者と荷主との契約締結に直接関与して対価を得る事業のこと
・インターネット通販…商品など配達をする時に消費者と運送会社とで結ぶ契約を通信販売会社が締結し、それに係る対価を得る事業のこと
などがあります。
従来まで、貨物取次事業は登録が必要でしたが、平成15年から規制が廃止されたため誰でも自由に始めることが可能となっています。
コンビニエンスストアなどで宅配便の受け付けを行って、宅配業者との仲介や取り次ぎして手数料を受け取る仕組みも貨物取次事業の1つといえます。
貨物利用運送事業は登録と許可どちらが必要か
貨物利用運送事業は自己の名前で運送事業者に荷物を運搬しますが、貨物取次事業者は荷主と運送事業者の契約を補う形という違いがあります。
そして貨物取次事業は法改正により規制は廃止されたものの、貨物利用運送事業は登録または許可が必要で、貨物利用運送事業の種類によりどちらを取得するべきか異なります。
たとえば荷主が希望し有償で利用運送を行うというケースでも、トラック運送だけなら第一種貨物利用運送事業に該当することになるので、国土交通大臣の登録で事業を営むことが可能です。
ただし有償で利用運送を行う場合でも、鉄道・航空・船舶などを使い、集荷や自動車利用による運送もすべて行う場合には第二種貨物利用運送事業に該当することになるので、国土交通大臣の登録ではなく許可が必要となります。