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運送会社が気をつけておきたい偽装請負と判断されるケースとは?

2021.09.14
分類:その他
運送会社では、人件費などを削減するために従業員と直接雇用契約を結ばず、他社との請負契約により従業員に自社の仕事を任せるといったケースもあるようです。 このように、会社同士が請負契約を結び仕事を依頼していれば、労働者として扱う必要はないと考えられますが実際はどうなのでしょう。

請負と派遣の違いに注意

直接、従業員を請負人とせず、他社と請負契約を結びその会社に雇用されている労働者に業務を行ってもらうという方法は、自社が雇用しているわけではないため労働者として扱う必要はないと考えられます。 ただ、確かに労働者としての問題は回避できたとしても、その実態は労働者派遣法の適用を潜脱しようとしているとも見えるため、偽装請負となってしまう恐れがあるでしょう。 そもそも請負とは派遣とは異なるため、仕事を注文する自社と労働者の間に指揮命令関係はない状態であり、当然、労働者派遣法の規制も受けません。そのため、労働時間の管理や安全衛生面の問題の他、自社が負う責任なども異なります。 しかし請負か労働者派遣かという判断は、どのような契約を結んだかではなく、労働者派遣事業と請負事業の区分に関する基準に基づく実態に即した判断となります。 そのため、契約上は請負や業務委託という場合でも、事を請け負う労働者を直接指揮・監督する状況にあれば偽装請負となり、労働者派遣とみなされ労働者派遣法での責任を負うということです。

どのようなケースが偽装請負となるのか

請負契約でありながら、業務について細かく労働者に指示を出すこと、勤務時間などの管理を行っていれば偽装請負となります。 また、形式上は現場に責任者を置いているものの、労働者に対する指示は発注者によるものであり、単に伝えている状態にすぎないケースも偽装請負と判断されることになるでしょう。 他にも他社で働くように労働者を斡旋したものの、他社と労働者で労働契約は結ばずに、あくまでも個人事業主として請負契約を締結し指示・命令した業務を行ってもらうといったケースも同様です。

偽装請負とされた場合の罰則

偽装請負と判断された場合には労働者派遣違反となるため、労働者から雇用関係があることを主張される可能性があります。さらに労働災害が発生したときには、安全配慮義務違反に基づいた損害賠償請求の対象となるおそれがあるため注意しましょう。 違法な労働者供給と判断された場合には、労働者派遣法・職業安定法に違反したこととなり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。 そして請負を装う労働者供給・労働者派遣は、労働基準法にも違反したとされれば、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。