日本は世界に誇る「国民皆保険制度」という制度があり国民全員が健康保険、共済保険、国民健康保険のどれかに加入する事になっています。これは貧富の差によって公平な医療が受けられなくなる事を避けるものです。さらに医療費が高額になった場合には限度額内の支払いで済ます事ができる「高額療養費制度」というものがあります。
これは1か月にかかった医療費の自己負担額の上限を決めるものです。自己負担額の上限は世帯や収入によってかわります。また高額療養費は支払い制限がなく同世帯間での医療費の合算請求ができます。自己負担限度額は70歳未満の場合は3つに分類されており、70歳以上の場合は4つに分類されています。それぞれの区分と支払い限度額についてみてみましょう。
まず70歳以上か、70歳未満かに分類されます。次に所得によって分類されますが低所得者は特に手厚く援助される仕組みになっています。
(70歳未満)
・上位所得者(基準総所得が600万円以上)
自己負担額は15万円+(総医療費−50万円)×1%
・一般(上位所得者以外)
自己負担額は8万百円+(総医療費−26万7千円)×1%
・低所得者(住民税非課税)
自己負担額35,400円になります。
(70歳以上)
・現役並み所得者
(医療費の自己負担額は3割)
8万100円+(総医療費−26万7千円)×1%
・一般(現役並所得者以外)
4万4400円
・低所得者Ⅱ型
(住民税非課税世帯で所得がない)
2万4600円
・低所得者Ⅰ型
(住民税非課税世帯で低所得者Ⅱ以外)
1万5千円
高額療養費制度は4か月目以降になれば負担額が一律同額になります。もし重篤な病気にかかり治療が長引いたときでも1か月単位の負担額は軽減されるのです。
【医療制度の問題】
このように高額療養費制度があることで私達は治療が長期間になったり、高額になった場合も治療費等で悩む事はなく安心して治療を受ける事ができるとても有り難い制度です。しかし、一方で高齢化社会の加速や医療技術の進歩により年々医療費は増加傾向にあります。毎年赤字経営になっている医療費ですからこの制度自体がいつまでもつのか、今後は廃止されるのではないかという不安もあります。
このような事を考えると私たちは公的医療保険だけに頼らずに民間の保険に加入したり、将来に向けての貯蓄をするなどそれぞれが自分の医療費は自分で確保するという認識に変えていく事が大事でしょう。