日本では10人に1人が腰痛に悩まされていますが、主犯格の1つと考えられているものに「腰椎間板ヘルニア」があります。腰痛の約85%は原因不明であり、残り約15%のうち約5%はこの腰椎間板ヘルニアが原因になっています。
腰椎間板ヘルニアは腰や臀部、下肢のしびれや痛みが放散したり足に力が入りにくい状態になります。そして横に背骨が曲がって動きにくくなるだけでなく、重いものを持つと痛みが強くなる場合などもあります。
24個の骨で構成され、骨と骨の間に軟骨の一種である椎間板があり、24個の骨で構成される脊柱。この骨同士の間にある椎間板は、中心にあるゼラチン状の髄核がクッションの役割を担い、コラーゲンを含む繊維輪軟骨が髄核を保護している状態です。そのため椎間板は形を変えることができるゴムのような柔らかさを保っているため、背中をそらしたり前にかがんだり、体をねじったり左右に曲げるなどの動きができます。
腰骨は5つの腰椎骨、そして1つの仙骨、それぞれの骨の間にあるクッションの役割をする椎間板でできています。腰骨の中には脊柱管という管があって、神経が通っています。腰椎間板ヘルニアとは、椎間板の繊維輪が裂け出っ張った髄核が神経を刺激して痛みやしびれ、麻痺などを起こす病気です。
腰椎間板ヘルニアは日常生活の中で背骨や腰に強い負担がかかったことが原因になる場合があります。その動作としてあげられるものは、長時間座った状態でいることや、重い荷物を中腰で運んだり強く腰をひねるなどです。このような動作を繰り返し行うことで腰椎間板ヘルニアが起きる原因になる場合があります。
また、椎間板の弾力性は20歳を過ぎたあたりから退化していきます。そしてカルシウム不足や加齢などが原因で骨粗鬆症や骨の変形を引き起こして、椎間板を潰してしまう場合もあります。
もし手術を受けなくても手遅れになるということは特にありません。しかし尿失禁などの膀胱直腸障害、筋肉の麻痺などが起きると治るまで非常に時間がかかります。そのため日常生活や社会生活に不都合が生じるため、肛門の周囲に痺れが起きたり巨大なヘルニアで脊柱管の大部分を占めている場合には早めに手術を受けたほうが良いでしょう。また、治療を3か月間続けても改善が見られない場合や、激しい痛みが続いて通勤や通学に支障がある場合にも手術を検討したほうが良いでしょう。