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東電原発事故!就労不能損害の賠償責任と被災者の未来

2018.02.26
分類:医療保険

2011年の東京電力福島第一原発の事故の影響で、失業したり収入が減ったりした住民に東京電力が減収分を賠償する制度を「就労不能損害賠償」と言います。
原則として、2015年2月末までで賠償は打ち切られたが、住民の個別な事情に配慮した延長措置もあります。
就労不能損害賠償と、被災者の現状と、未来についてみてみましょう。

 

【被災者Aさん】


福島県南相馬市の化学品メーカーに勤めていたAさん(47歳)は、同県富岡町から家族4人で避難しました。
避難所で4か月過ごしましたが、妻の新しい職場が白河市に決まったためそこの近くのアパートに移りました。
Aさんの勤めていた会社は休業し、関連会社への転勤の話もありましたが時期や条件が折り合わず、退職しました。
Aさんは退職後、正社員の職を求めハローワークを数十回訪れましたが、書類審査を通し面接にまで行ったのは4社だけで、いずれも採用には至らず今は派遣会社で働きながら、就職活動を行っています。
賠償金は、就職活動中の生活費や、生活の再建に充ててきましたが契約が終了するため、先行きが見えず不安な気持ちでいっぱいです。

 

【機械保全技能士として働いていたBさん】


Bさんは、同県浪江町で機械保全技能士として働いており、東電の原発の設備診断などを行っていました。
以前は、大企業に頼られているという誇りもありましたが、原発事故で会社は休業し、再開のめども立たず再就職ができずにいました。
また、この年齢になって再就職先があるのか、今から自分に何ができるのかという不安な気持ちもあり、積極的に動くことが出来ずにいました。
しかし、Bさんは要介護の母と、持病で働けない兄を養っているため賠償金が打ち切られると生活の目途が立たず金銭的にも生活は苦しくなります。
いつかは、打ちきりをしなくてはいけませんが、仕事は安定した定住生活の中で行っていくものです。
帰還の見通しも立たない、会社の再開の目途もない状態での打ち切りはあまりにもひどいと批判する人も多くいます。

 

【賠償金と税金】


就労不能損害で、賠償金を受取る場合内容によって所得税が課せられるケースもありますので、注意しましょう。
●課税対象になるもの
・必要経費を補てんするために支払いを受けるもの
・営業損益のうち、減収分に対して支払いを受けるもの
・就労不能損害のうち、給与等の減収分に対して支払いを受けるもの
このようなものは課税対象になりますので賠償金を受取った際には覚えておきましょう。