9月は定時決定の適用月ですので、給与計算を担当している経理の方は特に注意が必要です。社会保険料標準報酬月額の定時決定やいつの支給分から社会保険料を変更されるのかについて見てみましょう。
標準報酬月額とは健康保険や、厚生年金保険の算定の基礎となる報酬の事を言います。
報酬には賃金、給料、手当、通勤手当などの労務の対象として受け取るものや、これら以外に通勤手当なども含まれます。
事業主は被保険者の実際の報酬と標準報酬月額の大きな差が出ないように4月~6月の報酬月額を届け出する事になっており、毎年1回標準報酬月額を9月分から決定しなおます。これを定時決定と言います。
雇用保険はその月の総支給額に保険料率を乗じて算出しますので残業代などによって支給額が変動した場合には保険料もそれに合わせて増減する事になります。
しかし、社会保険の場合は残業代などで増減しても一度決まった標準報酬月額は変更されない為毎月の保険料は同じままになります。
原則年に1回しか見直しをしない事になっている標準報酬月額ですが給与額が大幅に変動した時は「標準報酬月額の変更届」を提出して変更する事になります。
厚生年金保険の保険料率は平成29年9月まで毎年9月分の保険料から引き上げられることになっている為、10月の給与計算をする時には標準報酬月額の変更と、厚生年金保険の保険料率も変更する必要があります。
健康保険には国が行っている「協会けんぽ」と企業グループが行っている「健康保険組合」があります。
協会けんぽは毎年3月に保険料率の変更がされ、各都道府県によって保険料率も違います。健康保険組合もおおむね3月から保険料率が変更され、法律の範囲内で保険料率が決められています。
9月分の保険料から保険料率や標準報酬月額の変更がされる事になっていますが、毎月の給与から控除している社会保険料は「何月に支給される給与から何月分の保険料を控除しているか」によって変更のタイミングを決めることになります。
例えば当月控除(9月に支給される給与から9月分の社会保険料が控除される)の場合は
9月支給分から新しい標準報酬月額が適用されます。
翌月控除(9月に支給される給与から8月分の社会保険料が控除される)の場合は10月支給分から新しい標準報酬月額が適用される事になります。
このように標準報酬月額が適用されるのはそれぞれの会社によって変わります。
経理を担当する方は社会保険料が変更される9月、10月は特に気を付けて給与計算を行う必要があります。給与計算のミスは社員や会社への不信感にも繋がりますのでできる限り間違わないように努めましょう。