C型肝炎ウイルスに感染すると、6か月以上に渡る肝臓の炎症で細胞が破壊され肝臓の働きが悪くなります。これはC型肝炎と言われる状態で初期にはほとんど症状はありません。初めのうちに症状が出ないことが多いことで、ウイルスに感染していることを知るきっかけになるのは健康診断、献血の際の血液検査、他の病気での検査などです。
肝炎を発症すると肝臓の細胞が破壊されることで肝臓の働きが悪くなります。肝臓には他の臓器の3倍や4倍とも云われる予備能と言われる機能が備わっています。この予備能が備わっていることで重症化するまで自覚症状が現れにくい臓器です。
C型肝炎ウイルスに破壊された肝臓の細胞は、繊維成分に置き換わり肝臓が硬くなります。
これが肝硬変と呼ばれる状態で、正常な部分である程度肝臓の働きが保たれている状態が代償性肝硬変、さらに病気が進行して肝臓の働きが失われた状態を非代償性肝硬変と呼びます。
今では、C型肝炎は21世紀の国民病と言われています。日本には、100人に1~2人の割合でC型肝炎に患う人がいます。そしてC型慢性肝炎の人、もしくは自分で感染に気がついていないC型肝炎ウイルスの持続感染者がいると推測されています。
C型肝炎はA型肝炎やB型肝炎と比較した場合、急性期に自覚症状が現れる人は2~3割程度の人で、ほとんどの場合自覚症状があらわれにくい特徴があります。見られる自覚症状は、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐などの症状で、黄疸や肝臓腫大がみられる場合もあります。
急性肝炎で発症しても症状が一時治まったあとに再び活動性を持って症状が出たり、感染後10年~20年経ってから症状が現れる場合もあります。そして既に肝硬変になっているという可能性も否定できません。
C型慢性肝炎は少しずつ病気が進行し、治療しなければ10~30年後の3~4割の人が肝硬変、そして肝がんへと移行する病気です。長期間の肝臓の炎症状態が続くことで肝臓の細胞が壊れて、壊れた細胞を埋める形で線維成分が増加して肝臓が硬くなってしまいます。この肝硬変の状態は肝がんを発生しやすくしますし、食道静脈瘤の破裂、肝性脳症など重大な合併症を引き起こしやすくなります。
C型肝炎ウイルスへの感染は血液を介して起こります。現在では医療機関などで感染することはほとんどなくなりましたが、過去に輸血や出血量の多い手術の経験がある人は一度検査を受けるようにしましょう。C型肝炎は早期発見することで肝硬変や肝がんへと進行してしまうことを防ぐことができます。定期的に健康診断などを受診するようにしましょう。