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切らずに治す!放射線を用いたがん治療とは?

2016.05.25
分類:ガン保険

放射線の働きを利用した治療方法

放射線は細胞が増殖しようとする際に遺伝子に作用して増殖を抑制したり、新しい細胞に置き換わるときに脱落する仕組みを促して細胞を消滅させることができます。その働きを有効活用し、がんの治療法などに用いられています。


放射線治療とは

放射線が、がん細胞内の遺伝子にダメージを与えることでがん細胞を破壊します。ただし同時に正常細胞にもダメージを与えることになりますが、正常細胞は修復されるため最終的にがん細胞のみが破壊されることになります。


がん治療で用いられる放射線

現在ではがん治療で効果が証明されている治療法は、外科療法、化学療法、そして放射線治療の3つです。放射線にも様々な種類がありますが、放射線治療に用いられているものはエックス線、ガンマ線、電子線などです。そして一部の施設で陽子線や重粒子線による治療も行われています。

放射線治療のみの場合と、他の治療方法と組み合わせて実施する場合があります。例えば早期の喉頭がんや前立腺がんの場合は放射線だけで治療を行うことが多いですが、乳がんの場合は化学療法や外科療法に合わせて行うことになります。放射線治療の対象となるがんは、脳腫瘍、扁平上皮がん、腺がん、膀胱がん、骨肉腫、悪性黒色腫などです。


・エックス線
エックス線は身体を通過するため、大きなエネルギーのエックス線の場合は脳、骨、肺などの深い部分へ治療を行う場合に用いられます。小さいエネルギーのエックス線の場合は、喉頭、首、乳房に治療する場合に用いられます。

・ガンマ線
小さいエネルギーのエックス線と同様に用いられます。

・電子線
体内で一定の深さより奥には入らないという性質があるので、浅い部分を治療する際に用いられます。


放射線治療の副作用

放射線治療の副作用は、基本的に照射された部位にのみあらわれます。治療中に現れる急性のものと治療終了後、半年以上経過して現れるものがあります。

急性の副作用は皮膚炎、脱毛、嘔吐、口内炎、頭痛、下痢などです。治療終了後期間を置いて現れる障害には、脳障害、食道狭窄、心不全、肺繊維症、肝萎縮、膀胱炎、他にも血尿や下血などが見られる場合もあります。重い障害としてあらわれるのはきわめて稀ですが、治療後5年間は継続して診察を受ける必要があります。


放射線治療にかかる費用

放射線を用いた治療は、治療内容によって様々ですが自己負担3割の金額の目安は次の通りです。

・乳がん温存術後の通常照射(25回)約14万円
・定位放射線治療 約22万円
・前立腺がんに対する強度変調放射線治療(39回)約49万円

この金額は平成26年厚生労働省告示の診療報酬点数に基づくものです。これらの費用の他に、初再診料、検査料などが別に必要になります。


がんの予防に合わせて備えもしましょう

医学の進歩により現在では様々な治療方法が研究されています。放射線治療もその中の一つですが、いざ利用する時にはそれなりに費用も発生します。がんを予防することに合わせて、万が一がんになった際に様々な治療が可能になるような備えをしておくと安心です。