経営者・従業員向け保険情報ラボManagement and Employees Information Lab

がん保険の経理処理方法

2019.05.31
分類:ガン保険

はじめに

法人を運営されている方は、解約払戻金があるタイプの法人向け終身がん保険が節税に役立つという情報を聞いたことがありますか? 以前は節税商品として販売されていましたが、現在はルールが改定され節税効果が薄くなっているようです。とは言え、まだ販売されている保険のタイプを知り、活用することで節税効果が得られるようです。 今回は「がん保険の経理処理方法」というテーマでお話していこうと思います。

法人がん保険はなぜ半額損金になったのか

平成24年4月27日に税制の見直しが行われており、その日以降に契約した法人向けがん保険は、支払った保険料が全額損金から半額(1/2)損金へ税務ルールが変更されました。 なぜこのようなルール改定が行われたのかというと、がん保険商品の開発が進み、当時の税務ルールでは適切ではなくなったためです。 がん保険は医療保険と同様、第3分野に分類されている保険です。 当時のがん保険は設定できる保険料が少なく、掛け捨てに近い状態で解約払戻金もほとんどない等、現在の商品とは異なっています。そのため、支払った保険料を全額損金として経費計上することができました。 しかし、商品開発が進んで保険料の設定や解約払戻金を高額に設定できる商品が販売されるようになり、現在の商品内容を反映された税務ルールに改定されたのです。

法人向けがん保険の活用法

ルール改定によって節税効果が薄れていると言われていますが、まだ活用方法があります。 がん保険には様々な商品がありますが、大きく分けて解約払戻金のあるタイプとないタイプがあり、それぞれ活用方法が異なります。 まず、解約払戻金のあるタイプは法人経営者の退職金を、税負担を軽くしながら積み立てることに活用できます。毎月保険料を支払っていくと、解約払戻金も積み立てられていきます。また、保険料の1/2が損金として計算されるため、退職金の資金を積み立てる段階で税負担が軽減されます。貯蓄性がありますので、保険料のうち損金として計算されなかった1/2の残金は、資産として計上されていきます。解約後に解約返戻金を受け取ると、そこから保険料総額の1/2を差し引いた額が益金になります。そのため、経営者が退職金を支給され多額の損金を出したとしても、解約返戻金による益金でカバーでき、赤字決算を防ぐことが可能になるのです。 解約返戻金のないタイプは、従業員の福利厚生費に活用しましょう。 福利厚生制度は、従業員に高いパフォーマンスを発揮しながら長く安心して働いてもらうための制度です。導入したときには、福利厚生規定を作成し、一定の条件を満たした従業員を全員加入させます。解約返戻金のないタイプは保険料の全額が損金として扱われるので、税負担を軽くしながら効率よく福利厚生制度を整えることが可能です。