がんの新薬「オプジーボ」の概要

【はじめに】
京都大学の本庶佑(ほんじょ・たすく)教授がノーベル医学・生理学賞受賞したことで、「オプジーボ」というがんの新薬が話題になっていますね。
オプジーボは、薬代が高額であることなどが問題視されてますが、販売価格の値下げや保険適用対象の拡大なども進められ、少しずつ扱いが変わってきています。
今回は、画期的な新薬オプジーボの概要と、保険適用対象となるがんについてまとめます。
【オプジーボの概要と費用】
1.オプジーボとは
オプジーボには、がん細胞を殺したり、がんの働きを抑制する効果があるとされています。
また、これまでがんの治療に使われてきた抗がん剤とは違う仕組みでがん細胞を抑制します。
抗がん剤の仕組み
・薬でがん細胞を殺す
オプジーボの仕組み
・免疫細胞のブレーキをはずし、自分の免疫細胞にがんを攻撃させる
現在は、がんの治療薬として抗がん剤が用いられていますが、抗がん剤は良い細胞も弱らせてしまうため、全身にさまざまな副作用が出てしまいます。
オプジーボにも副作用はありますが、これまで治療が難しかった進行性の皮膚がんや肺がんに有効という研究結果が出ていることや、自分の免疫でがんを叩くので体への負担が減らせるということで注目されています。
2.公的保険の適用
オプジーボは画期的ながんの治療薬ですが、大きな問題となっているのが費用です。
今現在、保険適用となるがんは次の通りです。
・悪性黒色腫(メラノーマ、皮膚がんの一種)
・肺がん(非小細胞、二次治療からのみ使用可能)
・頭頸部がん(舌がん、咽頭がんなど)・胃がん(切除不能なものに限る)
今のところ公的保険での適用範囲は狭く、がんの種類や切除の可否で適用されるかどうかが変わってきます。
適用された場合は月8万程度でこの薬を使うことができますが、そうでない場合は100万単位の治療費がかかります。
しかし、薬価に関する法律の改正や、開発元の小野薬品工業株式会社の取り組みにより、オプジーボの価格は少しずつ下がっています。2016年には100mgあたり70万円以上の価格設定となっていましたが、現在は100mgあたり17万4千円になっています。(体重に関わらず一回あたりの投与量は240mg)
こうした動きにより、「自己負担でも使いたい」という患者は今後増えると予想されます。
【最後に】
今回は、オプジーボの概要と公的保険の適用範囲についてまとめました。
現在、公的保険でオプジーボが使えるがんは限られています。
また、オプジーボに限らず、新しい治療や保険適用外の治療を受けるには、がん保険や医療保険で治療費をカバーする必要が出てきます。
このように、体への負担が比較的少なく効果も高い薬がでて来たことで、今後ますますがん保険の需要は高まるかもしれません。