公的介護保険は、日常生活において介護が必要な状態になった場合利用できるものですが、自治体によって保険料にばらつきがあります。そのため、介護保険料の市町村間の格差を調整する役割として国が負担する介護給付金のうちの約5%分は調整するための交付金として交付されます。調整交付金の役割や、その仕組みをみてみましょう。
調整交付金は、市町村ごとに異なる介護保険財政の調整を行うために全国ベースで給付費の5%相当分を自治体に交付する仕組みになっています。具体的には、「高齢者中の後期高齢者の割合」と「高齢者の所得状況の格差」を調整する「普通調整交付金」と災害等が起こった場合の特別な事情を勘案する「特別調整交付金」の2種類があります。
ここでは、普通調整交付金についてみてみましょう。
普通調整交付金は、第1号被保険者のうち75歳以上である者の割合(後期高齢者加入割合)及び所得段階別被保険者割合の全国平均との格差によって生じる保険料差額について調整をするために交付されます。
計算式は下記のようになっています。
各市町村の普通調整交付金の交付額=当該市町村の標準給付費額×普通調整交付金の交付割合(%)
普通調整交付金の交付割合(%)=23%-(18%×後期高齢者加入割合補正係数×所得段階別被保険者数補正係数)
実際に調整交付金はどのような取り決めで交付されるのかみてみましょう。
・後期高齢者の比率が低く、1号被保険者の所得水準の高い市の場合
調整交付金は国の負担である5%よりも少なく、1号保険料の負担割合を増やします。もし調整交付金が4%となった場合、国の負担は24%になり1号被保険者の保険料負担は24%に増えます。
・後期高齢者の割合が高く、第1号被保険者の所得水準が低い市の場合
調整交付金は国が負担する5%よりも多くし、1号被保険者の保険料負担を減らします。
後期高齢者の比率が多く、所得水準の低い自治体では第1号被保険者の保険料負担を減らすということになります。
要介護状態になりやすい75歳以上の高齢者数や、65歳以上の高齢者の所得格差も市町村によって大きく異なります。このような所得格差や、高齢者層の分布によって介護保険の調整交付金は自治体ごとに異なりますが、国全体としては5%相当額が市町村に交付される仕組みになっています。