給付金を受け取った時の控除対象額の計算
【はじめに】
医療保険に入っていると、年末調整や確定申告で医療控除を受けることができます。
しかし、入院・手術などで給付金を受け取った年の控除申請には、少し注意が必要です。
今回は、給付金を受け取った場合の控除申請について見ていきたいと思います。
【給付金を受け取った場合の控除対象額の計算】
入院・手術などで保険の給付金を受け取った年の医療費控除の申請では、実際にかかった医療費から医療保険の保険金で補填された分を引く必要があります。
医療費の補填について、国税庁のホームページに掲載されている説明文を引用します。
1. 生命保険契約や損害保険契約に基づき医療費の補てんを目的として支払を受ける医療保険金や入院費給付金、傷害費用保険金など
2. 社会保険や共済に関する法律やその他の法令の規定に基づき、医療費の支払の事由を給付原因として支給を受ける給付金(例えば健康保険法の規定により支給を受ける療養費や出産育児一時金、家族出産育児一時金、家族療養費、高額療養費など)
3. 医療費の補てんを目的として支払を受ける損害賠償金
4. 任意の互助組織から医療費の補てんを目的として支払を受ける給付金”
(国税庁のホームページより)
この中から、1のケースについて見ていきます。
1のケースには、入院や手術で医療保険、がん保険の給付金を受け取った場合などが当てはまります。
例えば、総所得金額200万以上、入院・手術で給付金が出るタイプの保険に加入しているAさんが、年間合計30万円の治療費を支払ったとします。
盲腸の手術でA病院に10万円支払い、その他の治療でB病院に20万支払いました。A病院では入院・手術をしたので15万円の給付金を受け取りましたが、B病院は通院のみだったので受け取っていません。
年間所得200万以上の人の「医療費控除の対象となる金額」の算出式は、
(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補填される金額)-10万円
です。
・実際の計算式
{(10万-15万)+20万}-10万
※盲腸の治療費10万-給付額15万=-5万
ここで気を付けることは、「給付金などの補填は、給付の目的となった治療費から差し引く」という点です。
その他の治療費20万から-5万を引く必要はありません。
そのため、控除対象額は10万となります。
(10+20)-15-10=5万と計算してしまった人は、注意しましょう。
【最後に】
今回は、医療保険の給付金を受け取った場合の医療控除手続きについてまとめました。
計算が少しややこしいですが、控除制度を利用すると医療費がお得になるので、給付金を受け取った年もしっかり手続きしたいところです。
この他にも、医療保険と税金の手続きにはいろいろなルールが存在します。
保険や税金のことが気になる時は、タウルスまでお気軽にご相談ください。