骨折の応急処置~副木、冷やすなど~
はじめに
つまずいたとき、事故にあったとき、スポーツの最中など、骨折はいろいろなケースで起こります。
骨が折れたことに気づかず、そのまま放っておいたりすると、治るのに時間がかかるようになってしまったり、症状が悪化したりしてしまうことも珍しくありません。
特に小さな子どもやお年を召された方の場合は注意が必要です。
骨折の疑いがあるときの正しい応急処置の仕方を知っておくようにしましょう。
骨折したかどうかのポイント
骨折には開放性骨折と閉鎖性骨折があります。
開放性骨折とは、折れた骨が皮膚を破り外に飛び出している場合の骨折のことで、複雑骨折とも呼ばれます。
複雑骨折というと、骨が粉々になってしまったような状態のことをイメージされるかもしれませんが、これは誤りであり、正しくは開放性骨折のことを指しています。
これに対して閉鎖性骨折とは、折れた骨が外部に出ていない状態の骨折のことをいい、単純骨折、皮下骨折などとも呼ばれます。
開放性骨折の場合は、骨が折れていることが誰にでもわかりやすい状態ですので、ここでは閉鎖性骨折が起こった場合について説明します。
閉鎖性骨折の症状の特徴には以下のようなものがあります。
皮膚の変形
皮膚が部分的に飛び出たような形状になっていたり、逆にくぼんだような形状に変形している場合には骨折している可能性が高くなります。
また、大腿骨や股関節部分で骨折が起こった場合には、左右の足の長さが異なってしまうこともあります。
腫れ
患部に腫れが見られる場合も、骨折の疑いがあります。
痛み
骨折していると、少し触ったり、わずかに動かしただけでも激しい痛みを感じることがあります。
その他
その他には、骨同士が触れるような異音がしたり、特定の部分に力が入らないような場合などに骨折している可能性があります。
応急処置
骨折が疑われる場合の応急処置について説明します。
まず安全を確保
まず患者さんを安全なところに移しましょう。
その際、患部は動かさないようにしてください。
変形が見られる場合でも、無理に戻そうとしてはいけません。
患部を固定
骨折が疑われる場合、副木になるようなものを探してきて患部を固定します。
副木は板や傘などがあればいいですが、なければダンボールや雑誌などでもかまいません。
なお、患部を固定する際には、患部だけでなく上下2か所の関節も同時に固定するようにします(例として、ひじの骨折が疑われるなら、肩と手首の関節も固定する)。
また、変形が見られる場合でも、無理に戻そうとせず、変形したままで固定するようにしてください。
もし可能であれば、固定したのちに患部を冷やすことができればベストです。
応急処置をしたら、速やかに整形外科などの病院に運ぶようにしましょう。
最後に
骨が弱くなっている高齢者の場合、ちょっとしたことでもすぐに骨折してしまうことがあります。
それに加えて、部位によっては骨折していること自体に気づかないケースも多いものです。
放っておくと寝たきりの原因にもなりかねませんので、少しでもおかしいなと感じる場合は、すぐに整形外科を受診するようにしましょう。