緊急医療は医の原点とも呼ばれ、人の生死を分ける重要な意味を持っています。
まさに緊急時に周りの人がどのような対応をするか、または適切な処置の有無によってその人の生死を分けると言っても過言ではありません。
私達はいつどこでこのような場面に出くわすかわかりませんので、緊急医療と対応について詳しくみてみましょう。
急性病態は時間と伴に病態が急速に変化しその間の適切な処置によっては病気の結果が変化する可能性が高いのです。特に心肺停止状態であれば救急車到着までの間の蘇生処置が転帰に大きく関わるのです。もしも来院時に心肺停止であった場合予後は悪く救命率は非常に低くなります。
このように急性病態の場合救急車到着前や病院に到着前の処置が非常に重要になります。
救急隊員でなく一般人でも現在は自動車免許を取得する時には心肺蘇生法が必須となっています。
事故や病気はいつどこで発生するかわかりません。日頃から防災や救急医療に関心を持って講習などを受けておくように努めましょう。
複数の傷病者がいる場合患者自身では自分の病状について軽重を判断する事はできません。ですから緊急病院ではこれらの緊急性を判断し重症の患者を最優先にすることをトリアージと呼びます。
トリアージを行う事で救命できる可能性が高く、より重症な患者の診療が最優先されるのです。
現在日本の救急医療体制は都道府県が作成する医療計画に基づき二次医療圏まで対応させることになっています。さらにその重症度に応じて「初期救急医療」「二次救急医療」「三時救急医療」の3段階で対応するようになっています。
しかし重症度に応じた体制には限界もあり最近では北米型のERシステムを取り入れる病院もでてきています。
さらに患者一人一人のモラルの低下も見られこれが原因で救急車の出動件数は年々増加しています。背景には患者が救急車をタクシー代わりに利用したり、救急車を利用すれば優先的に診療してもらえるから、無料だからなどという考えが多く存在します。
このような事を受け今後は悪質な場合救急車の有料化も検討されています。
救急医療を利用する場合には自分の症状が本当に緊急事態なのかどうか判断するのは難しいものです。
そして医療には不確実性があり病院には救急車による受け入れに不平等がある事は事実です。
このようなたらい回しの禁止こそが救急医療制度に求められる最優先事項なのではないかと強く感じます。