台風などが発生すると、大雨や豪雨により住宅浸水などの被害が心配になるものですが、対策として行われるのが住宅嵩上げ工事(浸水被害対策)です。
近年は地球温暖化が影響し、日本の雨の降水量は年々増えているように感じている方も少なくないことでしょう。
気温上昇は今後も続く可能性があり、実際、世界で日本の平均気温をみた場合には、速いペースで上昇しているといわれています。
猛烈な雨をもたらすアメダス1時間降水量80mm以上の年間発生回数も増えているため、より住宅の浸水被害には注意が必要といえるでしょう。
住宅の浸水被害を伝えるニュースは、テレビなど各種メディアで取り上げられる機会も増えています。
2018年7月には、平成最悪の水害と言われた西日本豪雨により、3万棟に近い住宅が浸水しました。
さらに2019年9月に発生した数十年に一度と言われた令和元年東日本台風(台風19号)では、数多くの河川の氾濫を起こし6万2千400棟以上の住宅が浸水被害に遭うといった、広範囲で甚大な被害をもたらしています。
このような住宅の浸水被害は、過去最悪とよばれた状況を年々更新し続けているといえるため、冠水リスクの高い土地にある建物の浸水対策を行うことが必要です。
そのために行われるのが住宅嵩上げ工事で、既に建築されている住宅をジャッキで持ち上げ、基礎や1階部分を一段高くします。
冠水で床上浸水が起きることを防ぐことができますし、豪雪地帯などでは雪害による対策を防ぐことも可能です。
ただしすでに建築されている住宅を持ち上げて工事を行うことが必要となるため、一般的な増築や改築より工期は長くなり工事費も割高になりやすいといえるでしょう。
それでも土地が冠水した場合でも、建物の修繕のコストを最小限に抑えることができるのはメリットです。
突然の豪雨で土嚢を準備・配置しなければならないなど、冠水対策作業を急いで行わなければならないといった不安からも解放されることとなるでしょう。
さらに建物の重量が増えることになるので、地盤改良も必要です。土地の地盤が強化されることもメリットの1つです。
住宅嵩上げ工事中は別途仮住まいなど、住居を探さなければならないのでは?と思うかもしれませんが、住んでいるまま生活環境を変化させず工事が可能なのもメリットといえます。
住宅の浸水被害は、河川が多く雨量も増えている日本にとってどのエリアでも考えられるリスクととらえておくべきです。
付近にある河川がある場合には、もしも氾濫したときに浸水被害に見舞われるリスクはないか、ハザードマップなどで確認しておくことも必要となるでしょう。