建設工事現場で労働災害が発生することを徹底して防ぐためには、作業者に不注意や行動ミスがあったとしても、機械・設備・環境により災害が発生しない状態にしておくことが理想といえます。
しかし建設業界はいつも同じ工事現場で働くわけではなく、建築物が完成すれば新しい現場に移動することになります。そのためどの工事現場でも同じ状態を確保することは難しく、安全衛生の根本原則である本質安全化を徹底させることは困難といえるでしょう。
しかし過去に発生した労働災害などから、その原因を分析し労働者に安全教育を徹底することはできるはずですので、指導・教育を怠らないことが重要といえます。
仮に過去の事故や労働災害でその原因を追究・分析し、安全衛生対策をとった機械・設備を使っていたとしても、作業員が操作・手順がわからずミスが起きることもあります。
使用物質の有害性を把握できていないなどを、様々な理由で事故が起きてしまうこともあると考えるべきです。
実際、建設工事現場で起きる労働災害は、このような不安全行動や管理的要因に関するものが多く見られます。
人によるミスを防ぐことを目的に人的安全対策を推進し、同時に先に述べた本質安全化を徹底させることで労働災害は未然に防ぐことができます。
そのために必要なのが指導・教育で、人的安全対策の柱となるものです。
目指すことでよい方向に導くことを指導といい、教え育てることを教育といいます。
そのため作業員が作業を行う上で、必要な知識・技能・態度を身につけ、安全を確保できるように働きかけることが必要といえます。
まず、どのようなときに指導・教育が必要か事前に把握しておきましょう。必要になるタイミングは次のとおりです。
・新規入場者や配置転換者が配置されたとき
・作業手順や作業場所が変わったとき
・災害が発生したとき
・技能や知識が不足していると認められたとき
・不安全行動を発見したとき
次に指導・教育内容を選び、会場・受講者・講師の選定・準備を行います。
安全衛生教育に必要な知識教育は知らないことを解決することを目的に行います。技能講習はできないこと、態度教育はやらないことをそれぞれ解決することを目指すため、実施方法は異なることも理解しておいてください。
指導・教育した内容が、作業の中で習慣化・持続化することができるように徹底して行いましょう。