現在、国交省では建設業許可業者が社会保険に加入するように徹底して取り組みを実施しており、「指名競争入札」や「経営事項審査」の際に確認が行われています。従業員が5人以上の個人事業所・法人については、健康保険に加入することが義務付けられています。
ただし上記の場合でも、国保に加入し健康保険の適用除外の承認を受けていれば社会保険に加入しているとみなされます。社会保険への加入といっても選択肢が健康保険(協会けんぽ)のみということではなく、経営状況や方針などに応じ建設国保に加入することも可能と言えます。
国の医療保険制度には、国民健康保険、健康保険、共済組合、他にも後期高齢者医療制度などがあります。
健康保険には全国健康保険協会管掌健康保険の協会けんぽ、そして組合管掌健康保険の組合健保があります。協会けんぽへは従業員が5人以上の個人事業所や法人になると加入が義務付けられますが、建設国保に加入している場合には「健康保険(協会けんぽ)の適用除外」の承認を受ければ引き続き建設国保に加入することが可能です。保険料は事業者と被保険者が折半にて負担することになりますが、保険料の額の算出方法は被保険者の標準報酬月額(及び標準賞与額)に保険料率(一般保険料率+介護保険料率)を掛けて計算します。保険料率は都道府県ごとに異なるため、賃金額や地域によって変動しますが扶養家族に対する保険料は不要です。
国民健康保険は市町村管掌の国民健康保険と、国民健康保険組合管掌の国保組合(建設国保など)があります。この中で建設国保の加入資格は、建設工事業に携わっており、従業員が常時5人未満の個人事業所、もしくは一人親方です。保険料は区分ごと定額制になっており、被保険者の保険料分を事業者が負担することはなく全額被保険者が負担します。さらに建設国保は扶養という考え方がありませんので、世帯人数分の保険料を徴収されることになります。保険料額は組合員の仕事の形態、年齢、家族の人数に応じて合算した額を算出しますが、保険料や給付内容などの詳細は国保組合によって異なります。
資金に余裕がないという場合には、事業者が負担する保険料が存在しない建設国保を選択したほうが良いのかもしれませんが、社会保険未加入対策は建設業の深刻な人材不足の解消でもあります。今後継続して建設業界が発展し、従業員やその家族が安心できるためにも健康保険に加入することが望ましいとも言えるでしょう。健康保険になると保険料を半分負担しなければいけませんが、長期療養が必要になった際の傷病手当金は国保組合よりも保障期間が手厚いですし、福利厚生についても優秀な従業員が定着することに繋がるというメリットもあることも理解しておきましょう。