建設現場は巨大な作業者や危険な工具などを使って、比較的高所で作業を行うことが多いため常に危険と隣り合わせの状況にあります。
建設業は業務中の不慮の事故で亡くなる人が多い業種であり、操作ミスや少し油断したことがきっかけで事故が起こる可能性が高い業種です。そのため企業ではしっかりと安全管理を実施する対策を取らなくてはいけません。
建設業の死因で多い不慮の事故の種類
厚生労働省が行った平成26年の労働災害による死傷者数の調査によると、その数は11万9,535人にものぼり、内死亡した労働者は1,057人という数でした。建設業は死亡事故が最も多い業種で業務中の事故で亡くなった人は377人もいます。
建設業での事故原因として多いのは、高所からの落下事故、交通事故、機械などで挟まれたり巻き込まれたりという事故で、偶発的に起きる不慮の事故が多く見られます。
労災事故は100%防げない?
労働者を事故から守るためには現場が安全に作業できるように環境を整備し配慮することが必要です。
しかしどんなに注意しても労働者が業務中にケガを負う可能性がありますので、その場合に企業が負担すべき治療費を補償するため「労災保険」に加入していることと思います。
労災保険に加入しているから安心ではない
近年個人の権利意識が向上し、業務中の事故は企業の安全対策に問題があったと損害賠償請求の訴えを起こす労働者もいます。
事故で障がいが残った場合や死亡してしまう重大事故は、損害賠償金を何千万円も支払う必要が出てくる場合もあるでしょう。
労災保険の補償額
労災保険で死亡時に補償される額は約1,000万円ですので、もし遺族が損害賠償請求の訴えを起こした場合、企業は負担しきれずに破綻してしまうことも考えられます。
そのため不慮の事故に備えた労災保険と別に「労災上乗せ保険」に加入する建設企業も増えています。
労災上乗せ保険の特徴
保険会社各社で取り扱いのある労災上乗せ保険は、労災保険が適用される場合に保険金が支払われる労災に上乗せして補償される保険です。
加入申し込みの際には無記名方式で行われますので、従業員各自の名前を記載しなくても人数だけ申し込みができます。正規雇用の社員以外でも、アルバイト従業員なども保険が適用されます。
補償の対象となるのは労災保険が適用されるケガや病気のみなので保険料も安く、労働災害でのトラブルリスクを回避するために安心して加入することができる保険です。
不慮の事故が起きやすい業種だからこその備えを
建設業は危険が多い職種ですので労働災害がいつ起きるかわかりません。安全対策をしっかり整備しているつもりでも、万一被災した労働者が損害賠償請求の訴えを起こした場合などは企業に大きな負担がのしかかる可能性もあります。
その場合労災保険だけで補うのは困難ですので、労災上乗せ保険などの加入を検討するようにしましょう。