飲食業界の市場規模は今後どうなる?まずはその事業特性の認識が重要に

外食産業の市場規模を確認すると、1997年をピークとして減少傾向が続き一旦反転したような兆しも見えてはいました。しかし2008年のリーマンショックをきっかけとして再び減少に転じ、2012年以降は回復傾向へ向かうこととなります。
しかし、2020年になって中国・武漢から始まった新型コロナウイルスの影響により、今後市場規模は再度減少傾向になると予測されています。
飲食業界の特徴
そもそも飲食業界は費用に占める原材料費の割合が高く、食料品価格が変動してしまうと業績を大きく左右することになってしまいます。
小麦や畜産物の価格は上昇傾向にあるだけでなく、人手不足に厚生年金・健康保険の適用拡大などが影響し人件費も増えるなど厳しい状態にあります。
それに加え、新型コロナウイルスにより営業自粛の要請などにより、売上が上がらず経営自体危ぶまれる店舗が多発している状況です。
飲食業界の事業の特性を把握しておくことも必要
もし新型コロナウイルスが終息し、店が持ち直したとしても飲食業界がどのようなことに影響を受けやすいのか、今後また同じような状況に陥った時のリスクに備えるためにもその事業の特性は把握しておくべきです。
景気動向の影響を受けやすい業界
たとえば少子高齢化で人口が減少していることや、景気の低迷や消費税増税など、人々が外食する機会を減少させる背景においての影響を受けやすい業界であると認識しておきましょう。
立地による影響も大きい業界
飲食店などでターゲットになる顧客は、近隣の商圏内に住む方たちがメインです。
そのため立地条件による影響を受けやすい傾向にあるといえるでしょう。
地域性が高く近隣の顧客のニーズに応えることができるかによって業績は大きく変わっていくといえます。
多様性に富んだ業界
提供する料理などの調理方法や用いる原材料、提供の方法などで、顧客層や競合、原価構成などは違ってきます。新しい業態で店舗を出店しようとすると、それまでのノウハウが活用できるとも限らないと留意しておくべきです。
一店舗一組織が基本
一般的に、店長に売上や仕入、採用における権限などが付与されていることが多く、現場のモチベーションを保つ環境作りなども店長次第という部分が大きいといえます。
人手不足が顕著化している
現在、飲食業界は若い世代の働き手を確保することが難しくなっている状況であり、不足する人手を確保するなら主婦やシニア、外国人など層を拡大することが必要です。
従業員の賃金や福利厚生制度の見直し、教育制度の導入などで、やりがいや働きがいを与えることができる環境整備が重要となります。
また、従業員はパートやアルバイト比率が高い業界のため、人材が定着しにくく流動的であるのも特徴です。そのため正社員への登用制度などを設け、離職率を改善させる取り組みなども必要といえるでしょう。