
福祉事業者と処遇改善の関係は、単なる賃上げの枠組みをこえた人手不足解消と、福祉サービスを維持・継続に向けた戦略の最優先課題にあるといえます。
介護報酬改定を経て、処遇改善は加算取得から人材獲得と人材定着に向けた組織改革に変化しました。
そこで、福祉事業者と処遇改善について、加算の仕組みや資金確保の一般化について解説します。
2024年度の改定で、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の3つに分かれていた制度は、「介護職員等処遇改善加算」で一本化されました。
一本化した新加算への移行により、キャリアパス構築や賃金体系整備に応じた4つの段階の区分が設けられています。
上位区分を取得することで、経営の安定性や採用の優位性を確保できます。
福祉事業者は、特有のキャッシュフロー構造による資金繰り問題を解決するために、攻めの姿勢により処遇改善や資金確保する動きが一般化しています。
国は、経済全体の賃上げの流れに合わせて、福祉業界の給与に関しても、全産業の平均並みに引き上げる方針を打ち出しています。
しかし、実際には物流費用や光熱費の高騰の他、配送コストの変動と物資高騰などで、資金繰りは厳しい状況です。
処遇改善加算の入金前の賃上げ実施が必要であるため、適切なキャッシュフローの管理が重要になっています。
金融機関と連携し、介護報酬担保融資やファクタリングなどを活用しつつ、資金を確保することも必要です。
福祉事業所による処遇改善は、月給を増やすことだけでなく、時間短縮による方法でも検討できます。
職員の離職を防ぐために、労働環境改善と処遇の質向上が欠かせません。
なお、処遇改善は賃金を上げることだけではないとも考えられます。
見守りセンサーや音声入力による介護記録の自動化などの導入は、業務時間短縮につながるため、処遇改善の1つになります。
福祉事業所で提供するケアの質向上による、処遇改善も重要な策といえます。
改正物流効率化法へ対応することも、処遇改善に関連します。
資材の受け取りで発生する荷待ち時間を削減するなど、物流対応を効率的に行うことで、ケア業務以外の対応に追われる手間を短縮できます。
職員のワークライフバランスの改善が、ケアの質向上に繋がると認識し、処遇改善策を検討することが必要です。