建築紛争とは建物の建築工事を巡り、起きてしまうトラブル全般を指していますが、たとえば次のような問題により紛争問題に発展することがあります。
・想像していたはずの完成品と異なる住宅の仕上がりだった
・建築物に瑕疵(不具合)があった
・工事の追加や変更を勝手にされた
・未完成状態で工事が放棄された
他にも請負代金の不払いや不当な修繕要求などが挙げられますが、どの紛争が起きても当事者同士だけで解決させることは簡単なことではありません。
もともと建設業は専門性の高い技術部分を巡るトラブルが多く、損害賠償金も高額になりやすいことから、弁護士に相談したほうがスムーズなケースが少なくないといえます。
建築紛争には色々な種類がありますが、起きてしまいがちなのは次の3つです。
・建物の瑕疵を巡るトラブル
・工事の追加・変更を巡るトラブル
・工事中断に関するトラブル
それぞれどのようなトラブルなのか説明します。
引き渡された建物に瑕疵があれば、注文者により修繕の請求や損害賠償請求、または契約解除が従来までは認められていました。
たとえば、雨漏りや水漏れ、ひび割れ、構造耐力不足、耐火・防火の不備などの不具合や欠陥などが該当します。
建物に瑕疵があったときの責任を「瑕疵担保責任」と呼んでいましたが、2020年4月に民法が改正されたことにより、瑕疵担保責任は「契約不適合責任」へ変わり、売主や請負人が負う責任の範囲も広げられています。
契約不適合とは、売買契約や請負契約で定めていた目的物の種類・品質・数量などが契約内容と合っていないことを意味します。
引き渡された建物の不具合や欠陥があるとき以外にも、種類・品質・数量が契約に適合していなければ、売主・請負人は責任を負わなければなりません。
工事内容や完成後の建物が契約内容に合っていなければ、注文者は業者に契約不適合責任を追及できるということです。
建築工事が予定どおりに進まないことはめずらしいことではなく、追加工事や変更工事が必要になることもよくあります。
再度打ち合わせを行って、契約書や設計図面も改めることが望ましいといえますが、工期に追われている中で注文者も打ち合わせの手間を嫌う傾向が高いといえます。
しかし口頭の説明だけでは認識にズレがあり、完成後にトラブルが発生しやすくなります。
たとえば施工業者が資金難に陥り、建物が完成前に建築工事が中断した場合など、注文者からは建物が完成していないので報酬の支払いはないでしょう。
しかし施工業者は多額の経費を支出しているため、途中で工事を終了したときも一定の場合において、出来高払いで請求することが認められています。