建設工事現場で工事中に事故が起きたことによって、第三者に損害が生じたときには誰がその賠償責任を負うのか気になるものです。
そこで、建設工事現場で起きた事故による第三者に対する賠償責任の所在について解説していきます。
建物など建築中または解体中、倒壊したことで通行人などに被害を及ぼしたときには、工事業者が損害賠償責任を負うことになります。
設計や施工に過失があれば、不法行為として損害賠償責任が発生します。
事故の原因により、設計・施工・監理いずれか、または複数の業者が責任を負うことになるのに対し、発注者は原則責任を負いません。
雇用契約において作業中に従業員が事故を発生させたときには、従業員の指揮・監督する立場である会社も損害賠償責任を負うことになります。
ただし発注者の指揮・監督を受けることがないため、工事で事故が起きても発注者に責任が及ばないといえます。
例外的に発注者が損害賠償責任を負うこともあり、たとえば発注者が危険な工事方法を遭えて指示したときや、工事を継続すると事故発生が予想できることを認識しつつ続行させたときなどです。
発注者の過失認定は、発注者の属性によって次のように変わります。
・過失が認定されにくいのは発注者が建設関係者以外の場合
・過失認定されやすいのは発注者が工事元請の場合など
それぞれ説明します。
発注者は建設工事に関して素人であり、工事業者は専門とするため、発注者が建設工事関係者の専門以外であれば過失認定されにくいといえます。
発注者も建設業界の専門である場合は、過失認定されやすくなります。
たとえば工事の元請業者が発注者となり下請業者に委託したケースなどが該当します。
工事が完成後に発注者に完成物を引き渡した後で事故が起き、事故原因が工事の不備だったときには、建物・工作物の所有者が責任を負うことになります。
最終的には実際に問題のある工事を担当した工事業者が責任を負担することになるため、所有者から工事業者に損害賠償請求することは可能です。
ただ、事故により被害を受けた第三者に対する責任は、過失がなくても所有者が負うことになってしまいます。