工期が遅れてしまい、本来の予定までに完成できなかったとき、建設工事関係者は様々な対応に追われます。
事故発生のときと同様に、工事遅延による補償などを求められることも少なくありません。
工程表の変更や予算再確認など、施主に連絡することも増え、その際に遅延損害金を支払うことが必要になる恐れもあります。
ときには不可抗力による工事遅延で、引き渡しが遅れることもありますが、損害賠償請求されてしまうケースも少なくありません。
そこで、工事遅延による補償について、どのような扱いになるのか解説していきます。
不測の事態が起こったことで、本来の予定の工期を延長しなければならなくなった場合、施主に対する損害金の支払いが発生する可能性があります。
仮に新築住宅の工事で、施主の仮住まいとして借りている賃貸物件の家賃を負担する程度なら、それほど大きな損害にはなりません。
しかしビルの工事で、ビルオーナーがすでに複数のテナントと契約を済ませており、開業日など決定している場合は多額の損害賠償請求が発生する恐れがあります。
不測の事態で物件引き渡しが遅れるケースのうち、台風や洪水など不可抗力の事態といえます。
工事が遅延した責任は施工業者になくても、施主から損害賠償金を請求されてしまうことはあるため注意が必要です。
工期の遅延によるトラブルを避けるためには、予測不可能な事態や天災などによる遅れのケースにおいて、損害金の支払いが免除となる条項を請負契約に盛り込んでおくことをおすすめします。
本来予定していた工期に完成できず遅延したときには、損害金の支払いリスク以外にも、施工業者の原価負担が増える点に注意してください。
契約している重機のリース期間も延長しなければならないケースにおいては、コストも多く発生します。
資材の手配や搬入などやり直す費用や、人件費なども工事日数の増加でかさむことになるでしょう。
施主が損害金を免除してくれたとしても、工事原価は追加で負担しなければならなくなる可能性があると留意しておくべきです。
工期遅延リスクを広範囲にカバーできる保険商品なども存在します。
遅延した正当な理由を保険会社に説明できたときには、広範囲の工期遅延による被害に対する補償がされるなど、リスクヘッジに活用できるでしょう。