建設工事現場では養生を行い、建物の保護や作業中の材料飛散などを防ぎます。
躯体工事などで施される処置のことですが、近隣に迷惑を掛けないためにも必要なことです。
そこで、養生とは具体的に何をするのか、シートの種類やしないリスク、行う場合の注意点を簡単に紹介していきます。
「養生(ようじょう)」とは、躯体工事でコンクリートに十分な強度を発現させるために施す処置のことです。
コンクリートは硬化まで十分な気温と湿度が必要となるため、水を散布したりシートをかけたりして、十分に強度が出るまで保護します。
そのため養生を行うのは、主に以下の作業のときといえます。
・コンクリートやモルタルなどの打設物の硬度と安全性を高める保護作業
・工事中に建物の汚れや近隣への塗料飛散を防ぐ作業
・解体工事で粉じんや騒音の対策に向けて建物の周りにシートやパネルを張り巡らせる作業
養生シートには、作業区分によって使い分けができるように複数の種類が用意されています。
たとえば解体工事の現場では、主に次の3つが使用されます。
・防音シート
・防炎シート
・メッシュシート
防音シートは音を遮断することを目的としたシートです。
防炎シートは、火災発生時に延焼を防ぎます。
メッシュシートは、主に落下防止に使います。
解体工事の現場では、防音シートを使うことが一般的であり、騒音や粉じんを防ぐ目的で使用されます。
養生は建設工事や解体工事において必要なことといえますが、しない場合には以下のトラブルが発生すると考えられます。
・騒音
・粉じん
・落下物
それぞれ説明します。
事前に近隣に挨拶をし、作業内容について理解を得ていたはずでも、想像していたよりも音がうるさいといった苦情を受けることはあります。
解体工事の現場周辺は、養生をしていても粉じんが周辺の家や車などに付着することがあります。
粉じんは100%防げず、最悪の場合には室内にも入り込む恐れがあるため、車にカバーをかけさせてもらうことや洗濯物を室内干しにしてもらうなど、事前に説明と協力をお願いしておくことが必要です。
人為的ミスなどで工具が落下したり作業員が転落したり、解体中の建物が倒壊するといった問題が起こる恐れもあります。
養生の設置が不十分のときや、そもそも設置していない状態の事故であれば、被害や影響はさらに拡大するといえます。
解体工事などで行う養生は、粉じんの飛散や騒音の防止以外にも、建物保護や運搬物汚損防止を目的とします。
養生が不十分な場合、以下の問題が発生する恐れがあるため注意しましょう。
・塗料が飛散したり汚れたりする
・近隣住民と騒音トラブルが発生する
・粉じんにより隣家や他人の車を汚す恐れがある
・落下した建材や工具で事故が起こる
養生が適切に行われることで、施工全体の品質向上につながることを理解しておきましょう。