天災やその他自然または人為的な事象が起き、発注者・受注者どちらにも責を帰することのできない不可抗力により、すでに工事で作られた部分や仮設物、工事現場に搬入している材料や建築設備の機器・工事用機器などに損害が発生したときには、まず事実が発生したことを受注者から発注者に通知することが必要です。
このとき、損害を誰が負担するのか決めておく方法としていくつかパターンがあります。
基本的には施工業者が善良な管理者として注意義務を果たしている場合は、発注者がその損害を負担するとすることがほとんどでしょう。
火災保険や建設工事保険など損害を補填できる場合には、それにより損害額を発注者の負担額から差し引くことができます。
ただし施工業者にとっての考え方もいろいろなので、次の4パターンから検討しましょう。
・損害について発注者と受注者が協議を行い、重大なものと認められ受注者が善良な管理者として注意義務を果たしている場合は発注者が損害を負担する
・損害について受注者が善良な管理者としての注意義務を認められるなら発注者がこれを負担する
・損害で重大なものについて、受注者が善良な管理者の注意義務を果たしていると認められるときには、発注者と受注者が協議により損害額を定め発注者が負担する
・損害について受注者が善良な管理者の注意義務を果たしているのなら、発注者と受注者が協議して損害額を定め発注者が負担する
天災地変など、人力ではどうすることもできない不可抗力とは、主に台風・地震・豪雨など異常な災害や、その他社会通念上可能とされる防止策を行っても発生してしまう事故などです。
工事目的物の引渡し前に、不可抗力で損害を受けたときの取り扱いについて、自治体などの発注する建設工事請負契約ではどのような扱いになっているのでしょう。
自治体によって異なるでしょうが、請負者は天災その他不可能力による損害が発生したときには損害通知書を発注者に通知することが必要となっています。
発注者は通知を受けた場合、直ちに調査を行って損害状況を確認し、その結果を天災その他不可抗力による損害確認通知書で請負者に通知するとしています。
損害確認通知を請負者が受けた場合は、天災その他不可抗力による損害額請求書により損害費用を請求することができるとしており、損害金請求については損害金合計額算出根拠となる内訳の添付が必要となっています。
ただし請負者から損害額請求書が提出されなければ、発注者は負担義務としているようです。