建設工事現場で発生する労働災害は少しずつ減少しているといわれていますが、それでも全産業の労災事故件数から見れば建設業界で発生する事故は多いといえます。
重大な事故が1件起きた場合、その背景には軽微な事故が29潜んでいるといわれており、事故に至らなかったヒヤリとしたことやハッと感じた体験が300事例あるとされています。
そのため、実際に建設工事現場で働く作業員には、このヒヤリとしたりハッとしたりという体験をヒヤリハット事例として報告してもらい、労働災害を発生させない取り組みに活用するべきといえます。
建設工事現場でのヒヤリハットとは、作業中に一歩間違えば大きな事故につながっていたはずと感じたヒヤリとしたできごとや、ハッとした体験などを指しています。
ヒヤリハットの段階で事故につながらなかったと安心するのではなく、発生したかもしれない事故など危険の芽を摘むことが重要です。
国土交通省でも職種ごとにヒヤリハット事例などの情報を公開していますが、建設工事現場で参考にしたいのが鉄筋工事でのヒヤリハット5箇条です。
その内容は、
①スラブ上歩行時は足元に注意!
②強風による倒壊・落下に注意!
③クレーンの操作は細心の注意を払う!
④差し筋をまたぐ際に注意!
➄トラックでの資材運搬時に注意!
の5つですので、鉄筋工事を行うときだけでなくその他さまざまな作業において注意するようにしましょう。
ヒヤリハットの報告は義務化されていませんが、作業員にはそれぞれ報告してもらうように徹底することが大切です。
建設事業所や現場などによって報告書の書式など違いはあるでしょう。ただ、いずれの書式の場合でも事例と対応策を記載することが目的です。
いつ・誰が・どこで・どのようなときに・どのようなことが起きたか(起きそうだったか)体験を記載してもらい、その原因や対応策もあわせて記しておきます。
ただ報告してもらうのではなく、建設工事の現場でヒヤリハットの情報を共有し、同じことが起きないようにすることが大切です。
どのような作業において、どのタイミングでヒヤリとしたりハッとさせられたりするのか、作業員同士が日々の体験について情報交換しながら事故を防ぐ意識を高めることが重要になります。
現場で行う安全ミーティングなどで活用できるよう、常日頃から作業員からしっかりと情報を得ることのできる現場体制を整備しておくようにしましょう。