建設現場の安全対策はなぜ困難?
建設現場は作業内容が日々変化し、多業種の専門工事業者の出入りがある状況です。その上、単品受注生産で雇用期間も短いなど様々な特徴から安全対策が非常に難しいと言われています。色々な事業者と作業員が状況の変化する現場で様々な作業をするという事情により、適切な安全設備の設置には限界があると考えられます。作業をマニュアル化することにも無理がありますし、連絡・調整が難しく継続的に作業員へ教育や訓練を行うことも難しいという状況です。
しかしそれらの特徴があることが確認できていれば、建設現場で安全対策を練る場合のポイントとして活用することも可能です。特徴こそが労働災害が発生しやすい部分だと言えるからです。安全設備が設置できない危険箇所は不安全な行動を行わないような作業員同士の声掛けや、連絡・調整方法の工夫というような改善点はどこかということを確認することができるでしょう。
確かに建設現場は安全設備の設置を適切に行うには限界があるでしょう。しかし誰でも間違いはあるということを前提にすれば、可能な限りで安全設備を適切に設置することができます。ヒューマンエラーには12の分類があります。そのうち、不注意、近道本能行動、パニック、錯覚、場面行動本能、単調作業などにより意識が低下することについては、最終的な安全確保は人の注意力に頼らないようにするための安全設備を整備することが必要になります。保護具の着用、墜落防止ネットや安全帯・墜落防止手すりの設置、差し筋の養生キャップや曲げ加工、安全弁・漏電遮断機・ガス警報器などリミット装置の設置などで対策することができます。
連絡不足、未経験、危険軽視、集団欠陥、中高年の機能低下、疲労等などのヒューマンエラーについては、エラーが発生しやすい状況の作業員が存在することを先に認識しておきます。危険な状況を作らないように、もしも起きた場合には早期発見・改善が可能になるような安全管理活動が必要です。個人での注意には限界があるため、朝礼で事例の報告会を行うなど安全意識を高めていくような集団力を活用すると効果的でしょう。
・ヒヤリハットの共有
・作業の技能訓練と教育
・安全衛生に対する訓練と教育
・危険予知活動の実施
・パトロールの実施
・ペアやコンビでの活動
・現場での声掛け
・安全衛生責任者の訓練と教育
他にも事業所や建設現場の状況によって色々な活動を行うことができるでしょう。事故が発生することを防止するためには、まず安全意識をどうすれば高めていけるか、それに向けてどのような活動を行うかが重要になるでしょう。