家の解体工事などを行った際に、工事中に発生した事故や工事による近隣住宅への迷惑などについての責任は誰が取るべきなのかを理解しておきましょう。一般的には工事での事故による責任は解体業者にありますが、注文内容に過失があった場合には施主にその責任が及ぶ可能性もあります。
工事の際に発生したトラブルには様々なものがありますが、通常の場合は解体業者が責任を負います。工事中に発生した作業員のケガは工事を管理する側の責任になりますし、何かに損傷を与えた場合などについても請け負った業者が賠償責任を負う必要があります。騒音や振動などの近隣住宅に対する迷惑についても、その原因を作っているのは業者になりますので基本的な責任は業者が負うことになると考えられます。
ただし発注者側に過失がある発注内容であれば、それぞれの責任は注文者にあると考えられます。民法第716条では、「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない」と定めています。条文では具体的な内容まで定めがありませんので、状況によって変わってくると思いますが注文者は完全に免責されているのではありません。指図についての過失が認められる場合には、第三者に対して責任を負うことになると解釈されます。
注文者による極端な値引きによって解体業者の収益を圧迫すれば、仮設工事や作業人員を削減することになります。さらに必要以上な工期の短縮も十分な作業時間を確保できず、工事が粗雑なものとなりかねません。業者側としても注文者の無理な発注を受けないようにすることが大切です。
事故の原因は比重によって違うものの、人、管理、設備、情報の4つに関係して起こります。事故を起こしやすい心理状態は、怠け心や利己心、不注意、自信過剰、極度の緊張、緊張の解けた瞬間、意気消沈など様々です。工事現場での事故を防ぐために、朝礼やミーティングを実施して労働者の健康状態や顔色など心模様の把握も必要となってくるでしょう。
注文者に過失が認められない内容以外は、一般的に建設現場での事故の責任は業者にあります。建設現場で事故が発生しないように、その要因になることを回避し対策などを行うことが必要となってきます。万が一事故が発生した時のために、賠償責任に対する備えも十分にしておくことが会社を存続させていくことにも必要となってくるでしょう。