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建設投資の今後の見通しは?需要よりも深刻な問題とは?

2018.03.16
分類:その他

建設経済研究所と経済調査会経済調査研究所では、建設投資について2018年1月26日、2017年度と2018年度見通しを発表していますが、2018年度の建設投資の見通しは53兆3,900億円となるとしており、政府建設投資は21兆8,000億円としています。


2017年度の全体の着工戸数は?
2017 年度、住宅ローンの低金利の効果がだんだんと弱まってきていると考えられ、持家は前年度比で減少すると予測されています。
貸家は相続税の節税対策で着工も落ち着き、こちらも減少と予測
分譲マンションは販売価格と在庫率の高止まり状態、それに販売適地が限定されている状況ではあるものの、着工は好調なので増加すると予測。
また、分譲戸建は低金利の効果が薄れているものの、企業が土地の仕入れや開発に前向きであると考え増加と考えられます。
これらのことから、全体の着工戸数は持家と貸家の減少により、前年度よりは若干減少するのではないかとの予測です。


2018年度には変化がある?
そして2018 年度は、消費税増税による駆け込み需要が影響して、持家と分譲戸建の着工は増加が見込まれると予測されています。
貸家は相続税の節税対策で着工がひと段落し、消費税増税の影響を直接受けないと考えられるので減少するとの予測です。
分譲マンションは販売価格と在庫率の高止まり状態、そして販売適地減少の影響は今後も継続し、消費税増税の影響も少ないと考えられるため減少との予測です。
そのため全体の着工戸数は前年と同じ水準と考えられています。


五輪関連で重要は高まる
また、2018 年度は経済対策の実施、それに五輪関連などでの需要が高まり、業界の循環は緩やかに回復していくと考えられます。
しかし過剰債務問題などを含む、中国金融市場の動向に伴った下振れや、アメリカの政策動向などにも注意しておく必要があると言えるでしょう。


今後問題になるのは需要面だけではない
日本経済の将来は、一般的に2020年代に衰退すると考えられます。
その背景として、東京オリンピック・パラリンピック後に建設需要が途切れることが挙げられますが、現在は開催に向けて建設ブームとも言われる状況です。
しかし建設投資の問題はこのような需要面ではなく、労働力を中心とする供給面と言えます。
必要な更新需要を実現するために、労働生産性を改善し、働き手を確保できるような取り組みが不可欠だと言えるでしょう、
女性や高齢者、外国人の受入など、今後はこれまでと違った建設業に対する新たな取り組みや対策が期待されるところです。