特定医療法人とは、持分の定めのない医療法人のうち、医療普及・社会福祉への貢献・公益増進などに著しく寄与する事業を運営し、国税庁長官の承認を受けた医療法人です。
承認を受けて特定医療法人として運営できれば、法人税等における軽減税率が適用され、相続税は非課税になるなどの税務上の優遇措置が適用されます。
ただし特定医療法人化は、高い公益性を求められるため、持分の放棄が前提です。
そこで、特定医療法人について、承認要件やメリット・デメリットを簡単に紹介します。
「特定医療法人」とは、財団または持分の定めのない社団の医療法人です。
事業および医療施設が、医療普及・向上・社会福祉貢献・その他公益増進に著しく寄与し、公的に運営されていることで国税庁長官から承認された医療法人といえます。
特定医療法人の承認要件は、施設要件・収入基準・運営基準などが設けられており、承認申請手続は所轄国税局の事前審査が必要となっています。
特定医療法人の承認基準の概要は以下のとおりです。
・財団または持ち分の定めのない社団の医療法人である
・理事・監事・評議員・その他役員等、それぞれに占める親族割合がいずれも3分の1以下である
・設立者・役員・社員またはこれらの親族に特別の利益を与えない
・定款に解散による残余財産を、国・地方公共団体・他の医療法人に帰属する旨の定めがされている
・法令違反の事実と、その帳簿書類に取引のすべてまたは一部を隠ぺい・仮装し、記載している事実その他公益に反する事実がない
他にも特定医療法人には以下の制限があります。
・保険診療収入の割合
・自由診療収入の請求基準
・医療施設
・経費
・役員の給与
・親族割合
など
特定医療法人のメリットは以下のとおりです。
・法人税は軽減税率が適用される
・出資持分に対する相続税が非課税扱いになる
・移行時の法人税・所得税・贈与税が非課税扱いになる
・看護師等の養成施設に対する固定資産税の免除がある
特定医療法人のデメリットは以下のとおりです。
・持分の放棄が前提であり、法人内に留保した剰余金の払戻しを受けられない
・同族支配について厳格な規制が行われる
・社員および役員等の親族割合が3分の1以下でなければならない
・自費診療報酬が社会保険診療収入と同一基準で計算される
・役職員の年間給与総額が3,600万円以下でなければならない
・医療施設ごとの差額ベッド割合が30%以下でなければならない