
福祉事業者の資産運用は、事業の持続可能性と安定性を高めるために行います。
介護保険や障害福祉サービスなどの公的保険制度に基づく運営であるため、報酬体系は一見、安定しているように見えます。
しかし、実際には、報酬改定による減収リスクや人件費上昇、物価高騰などで色々な経営リスクに晒されています。
そのため、リスクへの備えや事業拡大に向けた財源確保のために、資産運用が不可欠です。
そこで、福祉事業者の資産運用の目的について、種類と注意点を簡単に解説します。
福祉事業者が資産運用を行う目的として、経営リスクに備えることが挙げられます。
介護報酬や障害福祉サービス等報酬は、原則、3年ごとに改定がありますが、報酬単価の引き下げられるケースもあります。
報酬単価の引き下げ以外にも、感染症の流行や予期せぬ災害で収入が減る恐れもあるため、経営リスクへ備えるために内部留保を充実させることは必須といえます。
資産運用で経営基盤を構築できれば、安心・安全なサービス提供へとつながり、利用者やスタッフも獲得しやすくなります。
福祉事業者は、安全性と確実性を重視する傾向が強いため、以下の種類で資産を運用することが多いといえます。
・預金
・債券
・投資信託
・不動産投資
資産の中でも元本保証があり、安全性の高い運用方法といえます。
流動性の高さにより、緊急的な予備資金としても適しています。
ただし、預金利息はほとんどないため、リターンは期待できません。
国債・地方債・社債などの債券は、比較的安全性が高く、預金よりも高い利回りが期待できます。
ただし、発行体の信用リスク(デフォルトリスク)や、金利変動による価格変動リスクには注意が必要です。
複数の株式・債券を組み合わせたファンドであり、長期的に高いリターンが期待できます。
しかし、価格変動リスクにより、元本割れの恐れもあるため注意しましょう。
土地や建物を活用して、賃料収入を得たり売却益を得たりする方法です。
インフレに強いものの、空室や災害のリスクがあり、流動性の低さがデメリットといえます。
福祉事業者が資産運用をする場合、透明性の高い運営を確保しつつ、将来を見据えた備えを増やすことを意識しましょう。
なお、資産運用は経営戦略の1つといえますが、社会福祉法人などは公益性の高い法人であるため、資産運用に制限が設けられていることが少なくありません。
定款に基づいて運用することや、行政庁に報告をして承認を受けることなどが必要となります。
余剰資金の範囲内での運用を徹底し、一定の資産に偏らず、複数の種類の組み合わせなどでリスクを分散させることも検討しましょう。