
福祉事業者の競争は、顧客(利用者)の奪い合いに留まらず、人材確保やサービスの専門性確保などでも激化しています。
業界での生き残りをかけた構造的な争いであるのは、高齢者人口がピークに向かう中、生産年齢人口減少が限界点に達していることが関係します。
福祉事業者の競争の増加は、利用者や地域にとって、持続可能なモデル構築を示す経営力の競争ともいえます。
そこで、福祉事業者の競争の増加における背景について、激化する市場で勝ちぬくポイントを紹介します。
福祉事業者の競争増加における背景として、以下の4つが挙げられます。
・人材の獲得と定着の重要性
・専門特化と多機能化の二極化
・生産性向上に向けたDX化
・法律によるコスト競争
福祉事業者の競争は、利用者獲得から人材獲得へシフトしています。
ベッド数や居室数が十分でも、現場で働く職員の数が足りていなければ、法定の配置基準を満たせません。
優秀なスタッフを集めて定着させることが大きな課題といえます。
働きやすさのブランディングこそが競争で勝つための源泉であるため、ホワイトな職場であると証明できなければ、人材流出で事業継続が困難になる恐れがあります。
利用者から選ばれる福祉事業者になるために、専門に特化することも必要です。
たとえば、認知症ケア・医療的ケア・リハビリ特化など、特化できる領域はいろいろあります。
一つの拠点で、通い・泊まり・訪問などを組み合わせて、小規模多機能型居宅介護や子ども食堂などを併設し、地域のコミュニティの拠点になることも戦略といえるでしょう。
福祉業界でも、様々なシーンでDX化が進んでいます。
センサーを使った見守りシステムや、AIによるケアプラン作成、音声での記録業務自動化など、様々な場面でのデジタル化を目にすることが増えました。
質の高いケアにつながれば、高い介護報酬を得ることができるため、生産性と質の競争に繋がっていると考えられます。
改正物流効率化法は、福祉事業者でのコスト競争にも影響を及ぼしています。
施設で使用する食材やおむつなどの物資の搬入において、運送会社の荷待ち時間の削減に向けた受け入れ体制整備が求められます。
仕入れルートの最適化や在庫管理の徹底などにより、物価高騰や物流費増大の抑制につながり、職員の待遇改善や利用者のサービス料に還元しやすくなるでしょう。