
福祉事業所の法定研修の義務化は、サービスの安全保障と人材定着の両立の根幹として位置づけられています。
法定研修の実施は、福祉事業所の運営基準に直結する以外にも、専門性の向上や経営リスク回避において不可欠です。
そのため、やらされる事務作業として捉えず、職員や利用者の命や尊厳を守り、事業所の信頼を確保する上で欠かせない投資と考えましょう。
そこで、福祉事業所の法定研修の義務化について、実施方法や与える影響を解説します。
福祉事業所には、法定研修が義務付けられており、以下の項目が重視されます。
・虐待防止研修の実施…虐待防止委員会を設置し、年2回以上は虐待防止研修を実施することが義務づけられている
・感染症対策研修の実施…平時から感染症予防を徹底し、発生したときのゾーニング等の対応についてシミュレーション訓練を含めて年2回以上実施すること
・事故防止・安全管理研修の実施…転倒・転落・誤薬を防ぐリスクマネジメント研修を実施すること
・BCP(事業継続計画)研修の実施…2024年度から完全義務化されたBCP策定と実施において、災害発生における訓練なども実施する
福祉現場での法定研修の実施は、 DXによる方法なども取り入れられています。
現場の人手が足りていない状況では、すべての職員が同時に対面研修を行えません。
この場合、eラーニングや動画研修などを使えば、空き時間や自宅から視聴できるため安心です。
クラウド上で受講履歴なども管理されるため、行政の実地指導にも対応できます。
また、認知症ケアのVR(仮想現実)により疑似体験など座学以外での学びを実施することで、モチベーション向上につなげやすくなります。
福祉事業所の法定研修は、求職者が事業所を選ぶ際の、ホワイトな職場かの判断材料にもなっています。
研修体制が整備されている福祉事業所なら、事故やトラブルが発生したときでも、スタッフ個人のせいにせずに組織で職員を守ります。
また、処遇改善加算の算定要件であるキャリアパス要件とも連動するため、研修を通じたスキルアップは職員の定着率を劇的に高められるでしょう。
福祉事業者の行う法定研修は、義務化に対応した実績作りではなく、科学的介護のデータ活用にも結びつきます。
研修による事故防止策が事故率低下やケアの質向上にどの程度貢献したのか、数値で検証して次の研修に活かしましょう。