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建設業の労災保険はどのように手続することが必要?

2022.09.18
分類:リスク

建設業で労災保険に加入するときには、一般的な業種と違って元請業者加入の労災保険によって、元請業者の労働者だけでなく下請業者の労働者も補償対象となります。

そして労災保険料は、元請工事額を基準として算出されることも特徴といえますが、どのような手続が必要なのか説明していきます。

建設工事開始10日以内に保険関係成立届の提出が必要

建設工事の元請けは、建設工事開始から10日以内に、保険関係成立届の提出が必要です。

建設工事が開始すると保険関係成立届の提出の有無に関係なく労災保険に加入したことになりますが、加入手続が済んでいないときに労災事故が発生すると、次の費用徴収制度が適用されます。

・加入手続に対する指導を行政機関から受けたのにもかかわらず、行わない期間中に労災事故が発生した場合は、保険給付額の100%を徴収

・加入手続に対する指導を行政機関から受けていないものの、工事開始日から1年を経過しても加入手続しなかった期間中に労災事故が発生した場合は、保険給付額の40%を徴収

 

工事現場には労災保険関係成立票の掲示が必要

工事現場には労災保険関係成立票の掲げることが必要となりますが、以下の内容を掲示します。

・保険関係成立年月日

・労働保険番号

・事業の期間

・事業主の住所氏名

・注文者の氏名

・事業主代理人の氏名

労災保険関係成立票だけでなく、建設業許可票と建築基準法の確認済も掲示することが義務づけられているため、忘れないようにしてください。

 

建設業の労災保険における様々な違い

建設業の労災保険では、次の3つの違いについて理解しておくことが必要です。

・事業終了時期の予定の違い

・保険関係成立の違い

・加入手続の違い

それぞれの違いについて説明していきます。

事業終了時期の予定の違い

継続事業とは事業終了時期が予定されていないもので、有期事業は終了が予定されているものであり、建設工事は工期で終了時期が予定されているため有期事業に該当します。

有期事業は原則、工事現場所在地を管轄する労働基準監督署で手続を行います。

保険関係成立の違い

一括有期事業とは、有期事業のうち労災保険料の概算見込額が160万円未満で、請負金額19千万円未満のものです。

一定要件を満たせば、工事を取りまとめて一つの保険関係で処理できます。

単独有期事業は一括有期事業に該当しない有期事業のことで、工事ごとに現場所在地を管轄する労働基準監督署で保険関係を成立させることが必要です。

加入手続の違い

労災保険と雇用保険を一括して加入手続することを一元適用事業といい、個別に手続することを二元適用事業といい、建設業は二元適用事業に該当します。