「工事の目的物」とは、新しく建築・設置・取付する「物」そのものであり、請負契約において完成した後で引き渡す工事物件です。
また、請負契約のない工事であれば、完成させることを目的とした工事物件を意味します。
そこで、工事の損害賠償責任保険における「工事の目的物」と、その扱いについて解説していきます。工事保険でも「工事の目的物」という言葉が使用されますが、この場合には新たに建築・取付を行う物であり、完成後に引き渡すものを指しています。
たとえば次のようなものが「工事の目的物」に該当するといえます。
・新築住宅の建設を請け負う工務店…建築中の建物
・外壁設置業者…設置する外壁
・屋根建築業者…設置する屋根
・エクステリア設置業者…設置するエクステリア
・下水道工事業者…設置する配管自体
・解体工事業者…工事の目的物なし
設置作業に伴って既存建物に作業を加えるときには、既存建物部分は工事の目的物に含みません。
たとえば壁紙リフォーム工事業者の場合には、貼り付ける壁紙などは工事の目的物であるのに対し、内壁自体は含まれません。
他にも外壁塗装業者なら、塗装に使用する塗料については工事の目的物であるものの、外壁自体は含まれないということです。
「工事の目的物」では、
・保険の契約被保険者(自社)
・受注者または発注者
・下請である専門工事業者
などの物が対象です。
ただし保険商品ごとに対象となる範囲は異なる場合もあるため、確認しておいたほうがよいでしょう。
従業員や通行人がケガをしてしまった場合の補償は、工事保険ではカバーできません。
従業員は労災により補償されても、通行人など第三者に対する賠償責任は別途、請負業者賠償責任保険に加入しておくことが必要です。
また、引き渡し後の事故で第三者にケガを負わせてしまったときに備えて、生産物賠償責任保険(PL保険)などもあります。
なお、従業員の業務中のケガにおいても、労災上乗せ保険などがあるため慰謝料や見舞金の負担が必要になった時に備えることはできます。
工事保険は業務内容・業種・使用機材などで補償対象となる保険が細まかく分かれているため、間違えたまま加入してしまうと必要なとき保険金を受け取れない可能性も出てきます。
そのため加入を検討するときには補償範囲や、備えておきたい部分に対応できるか確認しておくことが大切です。