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公共工事で建設会社が加入しておく必要のある履行保証制度とは?

2021.04.25
分類:リスク

公共工事では、請負者に対し原則、契約保証金を納付する義務が付されていますが、契約保証金を納付することの代替え手段とされるのが「履行保証制度」です。

そこで、建設会社にとってどのような制度なのか、その内容をご説明します。

履行保証制度とは?

履行保証制度とは、請負者の責めに帰すべき理由で工事を完成できなくなった場合、保証人となった保険会社が発注者に対し、保証する制度です。

履行保証保険や履行ボンドなどが履行保証制度として準備されており、履行保証保険では、請負者が倒産してしまったなどを理由に、工事を続けることができなくなったとき、発注者に対し保証人が保証金を支払います。

履行ボンドとは、保証人が連帯保証債務を履行します。履行手段としては、保証金支払いだけでなく、残った工事も保証人が選定する代替業者に完成させるといった保証も担います。

 

履行保証制度で保証される2つのこと

履行保証保険や履行ボンドなどは、建設業界の履行保証制度の中でも金銭的な部分を保証します。

しかし履行保証制度で保証するのは役務的な保証もあり、これは履行保証保険ではなく履行ボンドがその役割を担うといえるでしょう。

なお、履行ボンドであれば役務的な保証の要求があっても、前払金の請求がされない工事であっても対応できます。履行ボンドを活用するときにも、銀行の与信枠に影響を与えることはありません。

公共工事の場合、落札後に請負契約を締結するまでは短い期間で保証の手配が必要となりますので、引受限度額を確保しておけば履行ボンドの申込みによって引受審査を省略できます。

 

契約保証の必要性

公共工事での契約保証は、請負契約を結んだときに請負者から発注者に対し支払われる契約保証金の代替的な金銭保証です。

請負者側の一方的な理由で契約解除に至った場合には、債務不履行で発生する損害金相当分が保険金として支払われるため、発注者を守ることもできます。

契約保証金が支払われるメリット

公共工事の請負契約を結ぶとき、請負者から発注者に対し支払われるのが契約保証金です。

これは、契約上の義務の履行を確保するための担保として支払いが必要であり、履行できないときに発生した損害をスムーズに負担できるようにするためのものといえます。

建設企業側も、公共工事の入札のときの金銭的保証の選択肢を広げることが可能となります。

なお、この保証は前払金保証に付随する特約であるため、前払金を支払うことが予定されている公共工事が対象です。