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建設業会計での貸借対照表と損益計算書の勘定科目について

2016.10.04
分類:その他

建設業許可業者が作成する財務諸表については、建設業法で規定されている勘定科目の分類によって作成する必要があります。そのため通常の会計で使うことのない特殊な勘定科目が用いられるため注意しましょう。

 

 

貸借対照表の勘定科目

貸借対照表で使用する勘定科目については次の通りです。

・完成工事未収入金

一般会計の勘定科目では「売掛金」を使用する項目については、建設業会計科目では「完成工事未収入金」で処理をします。これは完成工事高に計上した工事の請負代金などで、税抜方式の場合にも取引に係る消費税を含んだ未収額です。

・未成工事受入金

一般会計の勘定科目で「前受金」を使用する項目については、建設業会計科目では「未成工事受入金」で処理をします。これは引き渡しが完了してない工事のうち完成工事高に計上してないものが該当します。

・未成工事支出金

一般会計の勘定科目で「前渡金」や「仕掛品」を使用する項目についは、建設業会計科目 では「未成工事支出金」で処理をします。これは引き渡しが完了してない工事に使用した工事費や材料購入、外注の前渡金、手付金などが該当します。長期未成工事に使用した工事費のうち、工事進行基準で完成工事原価に含めたものについては除きます。

・工事未払金

一般会計の勘定科目で「買掛金」や「未払費用」を使用する項目については、建設業会計科目では「工事未払金」で処理をします。工事原価に算入する材料貯蔵品の購入費用などを含めた工事の未払い分が該当します。

「損益計算書」の勘定科目について

損益計算書で使用する勘定科目については次のとおりです。

・完成工事高

一般会計の勘定科目で「売上高」を使用する項目については、建設業会計科目では「完成工事高」を使用します。工事が完成して引き渡しが完了したものの最終総請負高が該当します。税抜方式を採用する場合には、取引についての消費税は除きます。

・完成工事原価

一般会計の勘定科目で「売上原価」を使用する項目については、建設業会計科目では「完成工事原価」を使用します。完成工事高に計上したものに対する工事原価が該当します。

・完成工事総利益

一般会計の勘定科目で「売上総利益」を使用する項目については、建設業会計科目では「完成工事総利益」を使用します。完成工事高から完成工事原価を控除した額が該当します。

原価管理が重要

建設工事は受注生産なので原価管理が必要で、完成工事原価については材料費、外注費、労務費、経費の4種類に分けて報告することが義務付けられています。また、工事原価報告書で労務費に計上するものについては直接雇用した作業員の賃金や手当などが該当します。役員報酬、従業員給料、退職金については「販売費および一般管理費」に計上します。

特殊な勘定科目に注意

このように建設会計は特殊な勘定科目を使用することになるため、不明な点については税理士や税務署に相談するようにしましょう。