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建設で注目したいニュース「社会保険加入の義務化の強化」

2018.07.19
分類:その他
建設業のうち、社会保険の未加入社に対して、建設業許可更新を行わない方針を国土交通省が固めたことがニュースとして取り上げられています。 若い世代の就職が少ない建設業では、人材不足の傾向が強いため、いかに人材を確保していくのかが重要になっています。 人が集まらない理由として、他業界よりも労働環境が不十分と指摘されていることから、社会保険未加入業者を排除し、労働環境を改善していこうという考えが強まっているといえるでしょう。

建設業許可更新時には未加入業者は受付けられない

建設業者は経常収支報告書や技術責任者の配置状況など必要書類を国や自治体に提出し、提出した書類をもとにして5年に1度審査が実施され、建設業許可の更新を行うことが必要です。 雇用保険、健康保険、厚生年金保険という社会保険については、保険料が納付された証明書を提出することが義務付けられるため、保険に加入していなければ許可は更新されません。 また、建設業法の改正も同様に目指しているようなので、今後、施行される時期なども詰めていくようです。

目標は建設業の社会保険加入率100%

国土交通省では、建設業の社会保険加入率を100%にすることを目指しているため、許可更新の時に未加入業者には加入させる形を徹底させる方針です。 2011年10月時点で社会保険に加入している建設会社は、業界全体の84%でした。しかし、2017年10月には97%まで上昇しています。しかし、元請業者は98.2%でほとんどの会社が加入している状況であるのに対し、下請次数が重なれば加入率が低下する傾向がみられ、3次下請になると90.5%程度でした。

法定福利費の支払いもチェック体制を整備

そのため、社会保険への加入を義務化し、元請業者から下請業者に対する工事代金の支払いの際には、社会保険負担分の原資である「法定福利費」が適切に支払われているかという確認も強化して行われるようになります。 定期的に下請業者に対し、元請業者からの法定福利費の受取り状況など確認を行い、十分に支払いが行われていない場合には元請業者に支払いを徹底するように求めていくようです。

若い世代が集まりやすい業界を目指して

国土交通省の調査では、建設業で働く人の約25%を60歳以上の人が占めているのに対し、30歳未満の人は約10%にとどまっている事が分かっています。 若い世代が敬遠する理由として、福利厚生が十分でないこと、休みが取りづらいことなどが挙げられることから、週休2日制の導入促進なども進めている状況です。 今後、社会保険に加入することが義務化されることで、さらに労働環境が改善され、少しでも多くの若い世代の人材が集まる業界になることが期待されるかもしれません。