公的介護保険の指定業者は、賠償資力の確保が義務付けられています。
そのため、賠償責任保険に加入しなければ指定申請は通りません。
介護事業者の賠償義務は、業務中に利用者の身体を傷つけることやモノの破損などの範囲にとどまらず、たとえばケアプランの作成ミスによる利用者の経済的損失など含みます。
万一に備える上でも賠償責任保険への加入は必要であり、どのようなケースでカバーされるのか前もって把握しておくことが大切です。
そこで、賠償責任保険について、公的介護保険の指定業者に義務付けられている制度を解説します。
賠償責任保険は、介護保険法と障害者総合支援法で規定された施設の事業者と運営者、さらに社会福祉法に定める第1種社会福祉事業者と第2種社会福祉事業者が保険契約者です。
具体的に、賠償責任保険では以下の事故による損害がカバーされます。
・管理財物の事故…利用者の所有物の管理中に起因する事故(利用者の介護ベッドを、操作ミスで壊してしまったなど)
・業務遂行中の事故…業務遂行中に利用者の所有物を破損させるなどの事故(利用者をベッドから転落させてケガを負わせるなど)
・施設の設備不備による事故…施設の階段の手すりの破損により利用者がケガを負うなどの事故
・業務結果による事故…施設で洗濯したシーツに漂白剤の洗い残しがあったため、利用者の肌に炎症を起こるなどの事故
・経済的損失…ケアプランの作成ミスで、本来利用できるサービスが受けられないなどのトラブル(その他、要介護認定の申請代行手続にミスがあり給付開始が遅れたケースなど)
・人格権侵害…利用者に承諾を得ず、事業所のホームページにケアプランの内容を掲載したため、プライバシー侵害を訴えられるケースなど
賠償責任保険で支払う年間保険料は、施設の理事・役員・職員・パートタイマーの人数などで異なります。
目安となる金額は、20~30万円ほどです。
賠償責任を負う事故を起こさないことが重要であるものの、どれほど注意をしていたとしても、事故を完全に防ぐことは難しいため、万一のリスクに備えることは大切といえます。
賠償責任保険に加入していない場合、指定業者になれず、利用者にも安心してサービスを利用してもらえません。
そのため、賠償責任保険には加入しておくことが大切です。