介護施設で生活する高齢の方にとって、1日3度の食事の時間は日々の楽しみといえるひとときです。しかし、身体的な理由や健康上、食事制限などが設けられていることもありますし、噛むことや飲み込むことが容易でない場合には、口にする食べ物の形や量を間違えてしまうと事故につながることもあるため注意が必要です。
そこで、利用者に安心して介護施設で食事を取ってもらうために、どのような食事介助を行うべきかご説明します。
健康な方が普段あたりまえのように行っている食事でも、身体機能の衰えなどがある場合では、従来のような食事量や食事にかける時間で食べることが難しい場合もあります。
このようなときに必要となるのが食事介助ですが、高齢の方の食事における特徴などを理解した上で行うことが大切です。
食べ物を口にしても、歯で噛み砕く力が弱くなってしまうため、硬い物などは食べにくくなります。軟らかい物を好んで食べるようになると、だんだんと噛む力が衰えてしまうので、噛むことができる大きさや硬さの物を把握することが必要です。
本人と相談をしながら、カットする大きさや硬さなどを決めて提供することが大切といえるでしょう。
物を噛めば噛むほどだ液の分泌が促され、飲み込むという嚥下作用を助けるようになります。また、体内に食べたものが取り込まれたときにも消化を助けてくれるようになるでしょう。
ただ、高齢になるとだ液の分泌量がだんだんと減少するため、嚥下にも影響を及ぼします。
高齢になると消化器官の能力も衰えてしまうため、食べた物が胃の中に長い時間留まるようになります。そうなる胃もたれを感じやすくなってしまい、食欲不振に陥ることもあるのです。
利用者に食欲があった場合でも、噛む力や飲み込む力が弱っているときには、誤嚥などで気管支炎を引き起こしてしまうこともあります。
さらに本人が食べることができるものや好きなものばかり与えてしまうと栄養バランスも崩れてしまうので、食品をより細かく刻んだりミキサーなどでペースト状にしたりといった方法も検討しましょう。
また、嚥下能力が低下しているのなら片栗粉やとろみ剤などを混ぜ、スムーズに飲み込むことができるような形で提供するのも方法です。
そしてきざみ食やミキサー食では見た目が悪くなることもあるので、食欲をそそるような見た目に工夫することも検討しましょう。
高齢であることからくる身体機能の衰えで、若いときのような食事のとり方が難しくなってしまうものです。
できるだけ食事の時間を楽しむことができるように、視覚、嗅覚、味覚などを刺激する食事を提供していきましょう。