建設工事において事故を起こさないようにすることは当然ではないかと思う方もいるでしょう。
ただ、実際に無事故の状態で工事を終えることはけっして簡単なことではありません。
事故にも小さいものから大きなものまで色々ありますので、たとえば作業員が足場から落ちてケガを負う大きな事故もあれば、外壁のタイルをうっかり1枚落としてしまったけれど作業員や通行人にケガはなかったという場合も事故です。
大きな事故だけでなく小さな事故まですべて防ぎたくても、工事の規模が大きくなればなるほど困難になると考えておくべきでしょう。
しかし無事故で工事を終えることは無理だと諦めるのではなく、無事故を目標に達成させる取り組みや対策を実行することが必要です。
たとえば無事故を達成した建設業者の取り組みとして、工事を行う上での独自のガイドライン・マニュアルを作成しているケースなどが挙げられます。
ガイドラインの内容は、過去に発生した事故を綿密に調査し、どのようなときにどのような事故が発生することが多いのか、実際の事故を分析した上で防止できる具体策を検討し明文化しているというものです。
事故を防ぐ上では、ガイドラインに沿って工事を行うことにより、事故発生率を低下させることに繋がると考えられます。
さらにガイドラインやマニュアルを作成するだけでなく、毎月現場監督の担当者に集まってもらい安全定例会を開催するといったことも取り組みとして多く見られます。
それぞれの工事現場で実際に行っている取り組みや対策、工夫などを発表し、情報交換により改善点などを話し合うのです。
実際に発生してしまった事故があれば、分析して再発しないための防止策を議論することも行われます。
また、それぞれの現場における生の声を互いに知ることができるのもメリットといえるでしょう。
いくら事故は起こさないように注意しようと意識していても、だんだんとその意識は薄れてしまう傾向にあります。毎月、安全に対する議論を行うことによって、事故を起こしてはならないという安全への意識を高めることができます。
話合った結果は、現場の作業員などにも伝えられることとなるでしょうが、無事故を意識した作業を行うことを常日頃から言い続けることで自然と意識も高まってくるでしょう。