建設業界は人材不足が深刻化しているなど、現場の人手が足りていない問題を抱えています。
しかし問題は人材不足に限らず、業界特有ともいえる重層下請構造による資金繰り悪化で、倒産ギリギリで経営しているケースも少なくありません。
重層下請構造により、様々な業者を経由した上で仕事を請け負うことになれば、途中でマージンが差し引かれるため手元に入るお金も少なくなってしまいます。
ピラミッド型の下位に位置する下請けほど、入金が遅く金額も少ないため、資金繰りに苦労してしまいがちです。
そこで、建設業界で問題視されている重層下請構造について、なぜ資金調達にも影響するのか説明していきます。
建設業界で問題となっている重層下請構造は、他にも製造業などで見られる仕事の発注・受注の元請け・下請毛との関係を示しています。
発注者から元請けへと直接仕事を依頼した後、元請けは下請けへと業務を委託します。
さらに下請けから孫請けへと依頼されれば、一次下請けや二次下請けなどに収まらず、三次・四次・五次と続くピラミッドのような仕事の請負いを発生させます。
これが重層下請構造であり、建設業界で問題となっている現象です。
仮に発注先の元請けが倒産すれば、その下請けは元請けから代金を受け取れず、最悪の場合には連鎖倒産してしまう可能性があります。
重層下請構造で下請けの下位層に位置するほど、発注先から支払われた代金が手元に届くまで時間がかかり、資金繰りが悪化しやすくなります。
そもそも元請けから下請け、下請けから孫請けなど、次々に委託されるたびにマージンが差し引かれており、入金額も少額です。
工事代金の支払いは完成後となるため、それまでに発生する仕入れ代金・人件費・外注費の支払いに充てる資金が足らず、お金の工面で苦労してしまいがちといえます。
資材はすぐに仕入れが必要であり、事業所の家賃や給与、固定費などの支払いも継続して発生するため、資金繰りをさらに厳しい状態にさせます。
前受金や中間金などを受け取ることができる場合もありますが、そもそも手元のお金が十分でなければ、資金繰りは改善されません。
そのため建設業界で問題となっている重層下請構造が解消されなければ、今後も下請けとして働く業者は資金繰りに苦労することになり、最悪の場合倒産してしまう業者を増やすことになってしまうでしょう。