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建設業界は工事を担う作業員の多くが非正規雇用の場合も少なくない?

2020.11.03
分類:リスク

働き方改革により、同一労働同一賃金という対応が求められていますが、建設業界は工事を担う作業員の多くが非正規雇用という場合も少なくありません。

しかし人手不足が深刻化する建設業界で、非正規雇用という雇用形態はさらに若い働き手を遠ざけることとなり、現場の作業員の高齢化でいずれさらに深刻な人手不足を招くことも考えられます。

労働者全体の7割は35歳以上

世代ごとの割合を見ると、労働者の3割足らずは若年層であり、残り7割強は35歳以上の労働者です。

情報通信業・宿泊業・飲食サービス業・生活関連サービス業・娯楽業などは若年率がやや高めであるのに対し、運輸業・郵便業・鉱業・採石業・砂利採取業・建設業などは2割前後という結果になっています。

この割合からわかることは、若年層が12割前半の業界は、今後も人材が不足し続けるということです。

若い世代の働き手が欲しいと募集をかけても人が集まらないという場合もあれば、新人を雇用できる状況にないことを理由に、現場が高齢化していることも考えられるでしょう。

 

産業全体の非正規雇用は4

年代は関係なく正規雇用か非正規雇用かという区分だけで業界ごとにみると、

産業全体でみた場合、正社員は約6割強、対する非正規雇用は4割近くとなっており、主にサービス業で35歳以上の非正規雇用の方が多くいるようです。

もっとも非正規雇用割合が高いのは宿泊業・飲食サービス業で約7割を占めています。

スーパーなどパートで働く方は卸売業・小売業に該当しますが、こちら4割強と高めになっており、反対に専門職・インフラ系・第一次・第二次産業系は正規雇用の割合が高くなっています。

ただ、一部の第一次・第二次産業で正社員・35歳以上の割合が異様に高く、業界自体が人員削減の状態が高まっているのなら仕方ないですが、そうでなければいずれ然急激な人手不足が起きる可能性もあります。

すでに建設業界は申告な人手不足の状態であり、非正規雇用人材の育成や待遇改善が急務となっています。

 

同一労働同一賃金で解決される?

ただ、中小企業は2021年4月1日に施行となる「有期雇用労働法」により、同一労働同一賃金を基本とすることになります。

有期雇用労働法は非正規雇用の社員を対象に法律であり、

・不合理な待遇差は禁止(正社員と非正規雇用の社員との間に賃金における不合理な差が発生することは禁止)

・労働者に待遇の説明義務を強化(正社員と非正規雇用の社員に待遇差がある場合は説明の求めに応じなければならない)

・行政による事業主に対する助言・指導などの整備(非正規雇用の社員に行う行政支援の強化)

などが中心となっています。

非正規雇用の社員の待遇面が大幅に改善されれば、働きやすい職場環境と感じてもらい、人材不足が解消される可能性も期待できるでしょう。