法律で「危険物」として指定された物質を保管する施設が「危険物倉庫」です。
危険物倉庫は消防法や建築基準法などの法律により、設備や人員体制など厳格な定めがあるため、もしも危険物倉庫を建設するときには消防との細かな協議が必要となります。
各種申請や許可取得など煩雑な手続も伴うだけでなく、費用がかかることと工期が長めに必要になるといったことが多いといえます。
そこで、そもそも「危険物倉庫」とはどのような定義の建物なのか、法律で定められている工事を可能とする基準について説明します。
「危険物」の保管方法は、「消防法」の第10条で次のように規定されています。
“指定数量以上の危険物は、貯蔵所(車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(以下「移動タンク貯蔵所」という。)を含む。以下同じ。)以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱つてはならない。”
倉庫を「貯蔵所」として使用するときにはその施設を「危険物倉庫」と呼ぶことになります。
危険物倉庫は、位置・設備・構造などの基準を満たしていることが必要であり、危険物の取り扱いや保安体制も基準を満たし、さらに消防機関と協議し許可を得れば建設できます。
そのため危険物倉庫の建設は、時間・手間・費用などが課題として挙げられることが多いといえるでしょう。
危険物倉庫に求められる基準のうち、位置・設備・構造で満たさなければならない要件は以下のとおりです。
ただし自治体ごとに定められた条例で、細かく指定されていることもあるため、事前に確認しておいたほうが安心といえます。
消防や自治体と協議を行い、下記の基準をすべて満たし、申請を行うことによって工事を行うことが可能となります。
工事完了後も検査申請を行い、完了検査を受けなければなりません。検査をクリアすると、危険物倉庫として使用することができます。
・近隣の学校や病院など保安対象物に応じた保安距離を確保する
・危険物の貯蔵量や倉庫の構造に応じた保有空地を確保する
・軒高6m未満で平屋
・床面積が千㎡以下
・屋根・梁に軽量金属板など不燃材料を用いる
・天井を設けない
・柱・床・壁が耐火構造
・窓ガラスは網入りガラスを採用
・危険物を取り扱う上で必要となる明るさ・採光を確保