建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設コンサルタント業界のリスクを回避するために

2016.04.26
分類:その他

設計に対するリスクは高まりつつある

設計の委託料が仮に300万円くらいだったとしても、施工費は数千万円や数億円かかります。もしも設計ミスなどで工事をやり直さなくてはならなかったり、修補が発生すれば会社は存続の危機を迎えることにもなりかねません。

 

建設コンサルタント会社が設計を受託し工事完成後に会計監査などで設計ミスが発見された場合、補強工事の費用の全部もしくは一部を負担する必要があります。

 

設計ミスを発見した建設会社が修正を行い、当初設計した建設コンサルタント会社にその修正費用を負担するように求めるケースもあります。

 

 

建設コンサルタント賠償責任保険

このような状況を回避するために、業界団体では建設コンサルタント賠償責任保険を運営しています。これは建設コンサルタントや地質調査業者を対象とした保険で、日本国内で行った土木設計業務もしくは地質調査業務、それに付随する測量業務において、発注者から提示されている要件を満たしていない設計図や地質調査報告書などの成果物を引き渡したことで、損害賠償を請求された場合に補償される保険です。

 

 

保険金の支払い対象となる業務とは

日本国内で行う土木構築物の施工に必要になる設計業務、施工監理業務、付随する測量業務、これらを業務遂行するために必要な企画、調査、助言業務などが保険金支払いの対象となる業務です。また、日本国内で行う地質、土質に関する調査業務も対象になります。

 

ただし、無体財産権を侵害したことに対する賠償責任や、環境への損失に起因する賠償責任は行われません。

 

 

補償される保険金額

支払限度額は3,000万円から5億円まで設定可能です。免責金額は50万円から500万円になっています。

 

 

測量業務についての特約が付帯可能

建設コンサルタント業務や地質調査業務の付随業務である測量については、補償に含まれていますが、それ以外の測量業務を特約を付帯することで保険対象にすることが可能です。

 

 

他にも様々な制度が利用可能

保険金の支払いが発生しなかった場合には無事故割引が適用になったり、他社制度からの乗換えの際には前保険期間が通算で補償されるなどの制度を適用させることが可能です。また、団体制度として運営した場合には割引の特典があります。

 

 

まとめ

建設コンサルタント賠償責任保険は、建設コンサルタント会社に発生しやすいリスクを様々な方向から回避してくれる保険なので、万が一の事態に備えて加入しておくと良いでしょう。賠償請求の額によっては、会社が続けられないくらいの大きな負担を抱える場合もありますが、そのような場合に備えて加入しておくと良い保険です。