労災保険は、労働者が通勤や業務上の事由でケガや病気、死亡したという場合、労働者や遺族に対して保険金が給付される制度です。そのため、労災保険で保険金が支給されるのは、通勤上や業務上に起きた災害に限られます。
建設業は労災事故が多い業種でもありますので、具体的にどのような災害が労災保険で補償される対象なのか知っておく必要があります。
例えば移動式クレーンのリースに専属オペレーターが付いている場合、そのオペレーターが負傷したら保険の扱いはどうなるかについても確認しておくと良いでしょう。
まず労災請求があった場合、労働基準監督署は対象となる災害が通勤や業務上の災害に該当するか判断します。認められた場合には労災保険から給付が行われますが、業務上の災害と認められるには、業務に従事中被災したこと、業務が原因で被災したことの2つを満たすことが必要です。
地震などの天災で災害が発生すると、業務に従事しているかいないかは関係なく危険な状態です。そのため事業主に責任を負わせることは難しいと判断され、原則、労災保険の補償対象ではありません。
ただし、労働者の業務や作業の内容や環境などを総合的に見た場合、業務に従事することで危険があると考えられる災害は労災保険の給付対象となる可能性もあります。
天災が原因で現場の足場から転落した場合や、ブロック塀が倒れてきたことによる事故などは業務上災害として認定されているものもあるので、必ず認められないわけではありなせん。
移動式クレーンのリース会社が移動式クレーンをリースする時、専属オペレーターを付けた上でリースを行うことがあります。この場合、現場で専属オペレーターが負傷などした場合、労災関係はどのような扱いになるか確認しておきましょう。
オペレーター付きリースは請負契約ではなく賃貸借契約ですので、原則、現場の労災保険の適用対象ではありません。そのためリース会社の労災保険が適用されることになるでしょう。
なお、下請としてオペレーター付きリースを取扱う場合など、労働基準監督署に相談してみるようにしてください。
業務上の災害として労災保険の対象になる基本的な判断基準は、業務に従事している途中での被災、そして業務が原因での被災という2つの基準を満たすことが必要です。
ただし移動式クレーンをリースする場合、専属オペレーターが付いている契約ではオペレーターの負傷などについて、どの労災保険を適用させるか迷うケースもあるようです。通常ではリース会社の労災保険が適用されると考えられますが、判断が難しい場合などは労働基準監督署に相談してみると良いでしょう。