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建設業が海外進出する際に抱えるリスクとは?

2018.04.10
分類:その他

建設業界の展望を短期的に見た場合、2020年には東京五輪が開催されることが決定しているので、鉄道網や高速道といったインフラ整備の加速が見込まれています。
しかし2019年をピークに、建設市場は縮小していき、だんだんと量から質に需要転換するとも考えられるでしょう。
そのため国内需要を確保しながら、海外分野などを展開していくことも必要となります。海外へ進出することは大きなビジネスチャンスですが、その分大きなリスクも抱えることを理解しておくことが必要です。


海外進出することでのリスクの種類
海外建設事業は事業を拡大して行く上で大きなチャンスになります。しかし、政治経済の状況や取引慣行など、企業を取り巻く環境が違う中で色々なリスクを伴うことになるでしょう。
どのようなリスクを考慮しなければならないか、海外で建設工事事業を展開させることを考えるのなら確認しておく必要があります。

●現地事情に伴うリスク
現地通貨の為替レートが変動することで生じるリスクである為替リスクを抱えることになります。
発注者や下請業者に対しての請負契約や取引を現地通貨建で行う場合には、為替レート変動で工事損益が変わってくる可能性があると理解しておきましょう。
また、政治や経済など現地の状況に起因するリスクであるカントリーリスクにも注意してください。法制度が万全に整備されていない新興諸国に参入する場合には、突然法制度が変更されることもあれば規制されることもあります。
さらに内乱、テロ、戦争、暴動などが起きて、工事の中断を余儀なくされる可能性もあるため、貸し倒れが起きるリスクも抱えるでしょう。

●現地国の法律や税制、規制が日本と異なるリスク
国特有の事情に基づいた法律や税制、規制が存在していますが、海外進出するなら日本とは異なる法律や税制、規制のリスクを理解しておく必要があります。

●現地施工業者の施工能力が低いリスク
海外では施工技術が未熟な場合もあり、日本で工事を行う時のように信頼できる下請業者に頼むことはできません。
そのため工事の手直しや遅延が生じると、工事コストを追加しなければならなくなって負担が増えます。
工事施工中に予期していなかった追加工事が必要になれば、施工業者は発注者に対し追加工事代金を請求します。しかし海外工事では、文化や商習慣の違いで、曖昧な当初の契約の取り決めによって請求交渉が長期化するケースも見られるようです。


今後は海外が当然のマーケットとなるかもしれない!
これまでは国内での建設市場が縮小され、売上高が減少することを回避するために海外進出を行うケースが多かったのですが、今後は海外も当然のマーケットとなることが予想されます。
しかし十分にリスクを考慮していなければ、甚大な損失を生じさせる可能性があるので、どのようなリスクを抱えることになるのか、どのように回避していくのか対策を講じた上で検討していくことが必要です。