建設業で労働災害はなぜ繰り返し起きる?

建設業界で起きている労働災害の原因のほとんどが、不安全な行動や状態に起因しています。さらにその多くはヒューマンエラーということがわかっていますが、なぜヒューマンエラーは起きてしまうのか、同じ災害が繰り返して起きてしまう理由など、労働災害をなくすためにどうすればよいのか考えておくようにしましょう。
事故の原因はヒューマンエラー
ヒューマンエラーの代表的な原因として、不注意、無知、未経験、危険軽視などが挙げられます。いずれも人の特性を知らなければ対策はできません。
危険軽視を例に挙げた場合、高さ2mくらいの場所で作業するとき、このくらいの高さなら大丈夫だと軽く考えがちです。しかし、結果として墜落事故が起きることもあるので、危険を軽視しがちという人の特性を理解した上で対策を行うことが必要です。
作業手順書だけあっても作業はできない
さらに現場での判断や作業は、仮に作業手順書があっても経験がなければ手順を進めることはできません。
職人の裁量にある程度任せなければならない面もあり、あまりにもマニュアル化してしまうと工期に影響を及ぼすこともあります。
事例以外に背景まで踏まえた対策を
そのため、災害の事例ではなく背景も考慮した上で対策を講じることが必要です。
ヒューマンエラーの事例だけで同じことをしないようにと現場の作業員に伝えたとしても伝わりにくく、仕事に集中すればするほど安全にまで気が回らなくなるので注意力にも限界があるといえます。
集中して作業を続ければ不注意が生まれてしまうため、対策を講じるには背景や隠れた原因を洗い出した上で考えることが必要ということになります。
ヒューマンエラーはゼロにはできない?
ヒューマンエラーをゼロにすることは難しいかもしれませんが、なくすことを目指す姿勢は重要です。
事故を徹底的に周知し、安全意識を高め、ヒューマンエラーの原因となる人間の特性を理解し、効果的な対策を講じることが必要になるでしょう。
労働災害を起こすと過失相殺などペナルティとして返ってくること、莫大な経済損失が発生すること、自分だけでなく会社や周りの人にまで迷惑をかけることなどを日頃から教育し、安全意識を高めていきましょう。
人はエラーを起こす前提で対策を
人はエラーを起こすという前提で安全対策を講じることが必要です。さらにエラーを起こさないための安全管理も実施し、起きないことが前提ではありますが、万一起きたときのための備えも行うことが必要になるといえるでしょう。